第18話 長門有希のお引越し
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かりとした絆が繋がっています。これに合わせて、彼女の表情や視線などから、現在の彼女が考えて居る事を類推出来ない訳は有りません。
少し考えた後、有希は静かに首肯いた。
そうして、
「あなたに手伝って貰いたい事が有る」
彼女に相応しい、落ち着いた。そうして、やや抑揚に欠けた小さな声で話し掛けて来た。
そして、この声が本日この図書館にやって来てから、初めて発せられた彼女本人の声で有った事は間違い有りませんか。
まして、彼女の方から何かして欲しいと言うのは……。
……今回が初めて。……と、そう考え掛けて、其処に少しの違和感を覚える俺。
そう。彼女に出会ってから今までの事を改めて思い返してみると、名前を呼んで欲しいとか、自分の寝室で寝ろとか、彼女も結構、自分を主張していたような記憶も有りましたから。
彼女の発して居る雰囲気や、言葉数が少ないトコロから、あまり自己の主張が強いようには思えませんが、それでも、結構、押して来るトコロは押して来ているような気もしますね。
要は自分の方から言い出すのではなく、俺が彼女の雰囲気を察して水を向けているから、彼女の方から言い出したのではなく俺の方から言って居るように思って仕舞うけど、実際は彼女の方から言い出して居るのも同じ状況。
何となくですが、上手く使われているような気がしないでもないのですが……。
「それで、俺は何をやったら良いんや?」
俺の、彼女に対する対応を少し変える必要が有る可能性については後で考えるにして、ここは彼女の要求を聞いてみるべきでしょう。
まして、彼女の頼みが俺に為せないような無理難題だとは思えませんから。
「この図書館の貸し出しカードを作って置きたい」
何か良く判らない反応ですが、陰陽相半ばする雰囲気を発しながら彼女が告げて来た内容は、矢張り無理難題だとは言えない内容でしたが。
但し、
「その行為に何か理由が有るのか?」
一応、そう聞き返す俺。もっとも、まさか彼女が言い出した事ですから、この図書館の貸し出しカードを作ると言う行為自体が、まったくの無意味な行動。例えば単に図書館に来たついでに、今後も利用し易いように今日の内に図書館の貸し出しカードを作って置く、などと言う行為ではないとは思うのですが。
案の定、微かに首肯いて、俺の問いに対して答える有希。
そして、
「この貸し出しカードを作ると言う行為は、今までのわたしの記憶に有る経験では、五月の連休明けに行われる出来事。それ以前に行われた事はない」
……と、普段通りの彼女の雰囲気で簡潔に説明を行った。但し、少しの違和感に似た何かを同時に発しているのも事実。
ただ……。
成るほどね。違和感の正体は
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