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Dies irae~Apocalypsis serpens~(旧:影は黄金の腹心で水銀の親友)
第三十九話 迎える勝利への終局
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ムを生む子宮と産道。それはすなわち世界をつなぐパイプ役。だが、だとしても可笑しい。言っていたではないか。ここは地獄だと。閉じられた
氷の牢獄
(
コキュートス
)
だと。ならば理屈が合わない。離れられるのは諏訪原市民八十万名。だが、帰る肉体があるシャンバラとは完全に断ち切られているはずだ。故に彼らが外へと出ることなど不可能。
何故ならそれはナウヨックスの造った道。ならばそれは今溶かされ、それを動かすのは
心臓
(
イザーク
)
の役目。そちらを産道と子宮しか持たないテレジアは持っていない。
『いいえ、今だけは―――私はそれも持っています』
取れる選択は無限だと、悪魔はそう言った。確かにそうだ。成否はともかく可能性はあった。そして、アルフレートを利用して再び世界を繋げなおした。
『あなたの敗因は、イザークを消そうとしたことです』
綾瀬さんの声がなければ繋げなかった。玲愛がその選択肢に気が付かなければそもそも魂を開放することなんて出来なかった。だが結果はどうだ。私達はみんなが信じ合ったからこんなことが出来ている。
『たとえ何百万人引き連れていても―――たった一人でしかなかった、あなたの負けです』
「くは――――――」
それでもなお、その一刀は首を断つには至らない。確かに漏れ出た魂は膨大だ。兵糧を失った軍は瓦解寸前だろう。だが、斃れはしない。それが、総軍の指揮者である自分の意地であることはわかっている。だが、その程度で勝った気になるなよ。まだ私は朽ちていない。
だが、その矜持も蓮の行った行動で崩される。
『レン、わたしはあなたを信じてる。だから、あなたもわたしを信じて』
「――――――ああ、ありがとう」
刃に籠る魂が色を変える。蓮は自分が間違っていたことを素直に認めた。何が信じろ、だ。俺の方がマリィ達を信じてなかったんじゃないか。そして断頭の理を持った刃は元の持ち主が宿ることによって今まさに真価を発揮する。
「くは、はははっ、はははははははははは―――――――――」
断頭の刃が首を断つために進み始める。ラインハルト・ハイドリヒはこの時、初めて自らの死と敗北を知り、理解した。
そして、魂だけとなり、散り逝く最中、ラインハルトは自分に勝った相手に言葉を紡ぐ。
「――――――なあ、他者を信じるとは、それほど大事なことなのかね。それを持たぬことが私の敗因であり、それに支えられたのが卿らの勝因であるのなら、是非証明してもらいたい。
勝者の義務だ。我らの敗北が真に絶対であったと、卿らは示して見せねばならない。それが成されなければ、私はまた戻ってくる。負けていないことになるのだからな。
後悔はない。後悔などさせてくれるな。私を斃したその力こそ、真に最強でなければならない。私は取るに足らんものに敗れたわけでは
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