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Dies irae~Apocalypsis serpens~(旧:影は黄金の腹心で水銀の親友)
第三十九話 迎える勝利への終局
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胸を聖槍で貫いていた。そして、そこから流れ出る神気が全身を蹂躙する。まさに致命的な一撃だった。
この結果は必然ともいえる。彼女を最後の最後で信じなかった彼はだからこそ敗したと言ってもいい。無論、彼女がいれば勝てたとまでは言わない。だが一方でここまでの差を見せつけられることもなかったはずだ。方や致命傷であり、方や軽傷とまではいわずとも致命傷とも言い難い。二人で戦ってきた彼が、今更決死の覚悟を決めたところで一人で勝てるかと言われれば否なのだ。

「興ざめ、とは言わんよ。私の想いが卿に勝ったのだ。卿の信仰に―――これはその結果に過ぎん。ああ、今こそ言おう。怒りの日、来たれり。私が総てを呑み込む」

だが、称賛には値する。自分が死んででもという覚悟は確かに大きい。事実、一人であったなら彼の刃がラインハルトに届くかどうかも怪しかったのだ。故に、それは誉れあるべきことだという。

「卿もまた、私の愛に抱かれ、溺れるいい。案ずるな、卿の女神も、まず第一に喰ってやろう。卿と共に我が覇道に溺死するがいい」

だからこの私に跪け。そう断言される。認めたくない。だが、認めざる得ない。違う、それだけは、それだけはさせられない。なのに…敗したのは自分、勝ったのはラインハルトなのだ。だが、だがそれでも――――――

「くっそぉ……」

諦められない。何が足りなかったんだ。俺に迷いなんてない。これしかないんだ。これだけしか方法はなかった。彼女に世界を知ってもらいたい。打ち上げにだって行かせてあげたい。だから俺が礎になる。それしか道は――――――ない。

「さらば、安らかに眠れ。私の御敵。盟友の遺産よ。卿等の美々しさ、永劫胸に留めておくと約束しよう」

心臓に突き刺された槍が破壊の輝きを膨れ上がらす。俺を殺して、マリィを喰らい、その総てを呑み込むために。させない。させるわけにはいかない。まだだ、死力を振り絞れ。俺は、マリィを死なせてたまるか――――――




******




時間はほんの僅かに遡る。

《さて、イザークよ。その消えかけの魂で何をなすことが出来る?》

イザーク、より正確に言えばゾーネンキントは消えかけていた。ようはテレジアや方陣の機能の役割を果たしていた者たちを含めた者らだ。

「あなたはイザークを利用しただけなの?」

その中で問いを投げかけたのは玲愛だった。問いを投げかけている対象はイザークが産道を破壊されそうになったときに手を差し伸べた悪魔、アグレドの因子だった。

《それはまた筋違いとしか言いようがないな。俺は選択肢を与えただけだ。死ぬか、生き残るかの。君らのスワスチカを利用したことは否定しないが、はっきり言って君らのことはどうでもいいんだ》

本当に彼にとってはどうでもよ
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