Episode1 口論と決闘
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ンが当然と言わんばかりに大きく頷く。
だが、腑に落ちていない風のアキが不機嫌に鼻を鳴らす。
「はんっ!僕はお前らみたいにオタクじゃないからそんなの知らない!いいから渡せよ!急いで戻ってきて、五日も探し回ってやっと見つかったんだよ!」
五日、というワードにクライン達一行がどよめく。しかし、そんなのもう一ヶ月近くも探していた俺にとってみれば短期間だ。
思わず『俺はその五倍は探してたぞ!』と言い返しそうになった俺より早く、謝罪以降沈黙を守っていたジンが口を開いた。
「口論しても仕方ないしさ。ここは一つ勝負で決めないかい?」
「…勝負?」
「うん、このゲームにはシステム上に設定された《決闘》がある。それで決めたらどうかな?」
決闘、というのはプレイヤー同士の力比べのためにある模擬戦のことだ。正直、受けてやる義理も理由もなかったのだが、逆に受けてやらない義理も理由もなかった。だから、俺は一つ首を縦に振った。
もしかしたら、自分はこの辺りのプレイヤーよりは少しレベルが高いという驕りもあったのかも知れない。
更に加えれば、俺のお人好しな性格も手助けしていたかも――などなど、単純なんだか複雑なんだか分からない思考を経た結果だから頷いたことは問題ない。
……ただ、ジンの申し訳なさそうな顔と、さっきのアキの発言で決して聞き逃してはいけなかった一言が決闘承諾の表記が出てから《初撃決着》のモード選択をする指を少しばかり鈍らせていたことに気付かなかったのは、完全に俺の過失だとこのあと思い知らされることとなるのだった。
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