一話〜生還〜
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前に聞いた音。
これは――
いや、やめよう。後ろで何が起こっているのか確認するのは。そんなことはわかりきっている。
あのハチ達のうち、どれかがソードスキルを発動させたのだ。
ダメージが通るかもわからない雑魚モンスターのささやかな攻撃にして、カラダのカタチを変える恐怖の攻撃。
となれば、この先の結末は二つに一つだ。
ハチのソードスキルが決まる前に俺が《圏内》である町に辿り着くか、それとも、俺の体にまた新たな変化が起きるか。
――間に合うか?大丈夫だ、絶対に間に合う。
あと50メートル
――だが、もしも間に合わなかったら?
あと40メートル
――もしも、刺されてしまって腫れが引かなかったら?
あと30メートル
――そんな姿、アイツには見せたくない
あと20メートル
――だから俺は逃げ切らなくちゃいけない
あと10メートル
――間に合わなかったらじゃない!間に合わせるんだ!
「うおおおおおおおおッ!!」
雄叫びを上げ、全筋力値を足に向ける。そして――
「とどけえええええッ!!」
門に向かって思いっきりダイビング。
いつもならば(普段こんなことなどしないが)次の瞬間に顔面を地面にこすりつける強烈な不快感が襲ってきているはずなのだが、人間の脳とは不思議なものだ。思考速度はそのままに、映像がまるでコマ送りのようにゆっくりと見える。
宙に浮いたまま、ゆっくり後ろを振り返る。
青い光を纏ったハチの針があと数センチというところまで迫っていた。
加え、町の門ももう目の前数センチの距離。
そして俺の体は宙を漂い、身動きがとれない状態。
――もはやできることは何もない。
そう悟った瞬間、俺の頭は急激に冷却された。
……もう、目を閉じておこう。そうすれば次に目を開けたとき、きっと何もかもが終わっているはずだ。それも、無事逃げ切れるというハッピーエンドで。
そうして、俺は目を閉じた。
「………」
ゆっくりとまぶたを持ち上げる。
「……んん?」
ここは……どこだ?
頬に当たる、冷たい石レンガからそれを想像。
ここは――
「町なのか?」
瞬間、うつぶせの状態から、バッと上半身だけを無理矢理起こす。と同時にあたりを見回した。
眼下の石と全く同じ色をした小さな家が複数。どうやら間違いないらしい。
「間に合った……?」
だが、安心するのはまだ早い。ハチのソードスキルが見事に決まり、吹っ飛ばされて……ということも十分ありえるのだから。
そう考えてしま
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