第二十四話 難波その十五
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話は得意じゃないんだよ」
つまり苦手だというのだ、
「どうもな」
「私も。ちょっとね」
里香もだった、微妙な感じである。
「そうしたお話はね」
「里香ちゃんもか」
「お人形自体は大丈夫だけれど」
それでもだというのだ。
「お人形が動くお話ってね」
「苦手なんだな」
「どうしてもね」
「それって誰でもでしょ」
琴乃は話す二人にこう言った。
「お人形が動くとかね」
「ホラーじゃない」
彩夏も言う。
「完璧に」
「うちにはそういうお話ないけれど聞いたことあるしね」
神社の娘である景子が言うと余計に洒落にならなかった。
「お人形は気をつけた方がいいわよ」
「浄瑠璃のお人形も怖いんだな」
美優はしみじみとした口調で呟いた。
「本当にな。まあとにかくな」
「これからよね」
「これ食べてな」
美優は今度は琴乃に話した。
「次は鰻な」
「そう、鰻丼ね」
「学生で鰻を食べに行くのもあれだけれどさ」
ここでは五人共苦笑いになる、贅沢ではないかというのだ。
「けれど今回はな」
「特別ってことでね」
「それでね」
このことはいささか自己弁護めいて言い合う、そしてだった。
五人で二つずつ善哉を食べる、それから次の場所に向かった。夏の大阪での楽しみはまだ続くのだった。
第二十四話 完
2013・2・17
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