31*謎の増援
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逃げだしたのである。
チキン?
そうだけどそれがなにか?
〜シルバ&エリザサイド〜
「……それではしばらく自分は消えますので……皆様サヨウナラ!!またいずれー!!」
そう言って、目にも留まらぬ速さで部屋から脱走するナルミ。
まさかの逃亡に、そこにいた三人は反応出来ずにその場に間抜けな顔をしながら突っ立っていた。
そして最初に覚醒したのはバリスであった。
「……逃げ、た…のか?」
そしてそれをきっかけに、残り二人も復活を遂げる。
「……はっ!ナルミ!なぜ逃げる!!」
「……先生…」
そしてしばらくの沈黙の後、シルバがなにかに気が付いたようにはっと顔をあげる。
そして一言。
「わかりました!これは先生からの試練です!!」
「どいいう事だシルバ?」
「先生はしばらく消える、と言いました。つまり、これは先生が私達に課した潜入者捜索のための試練です」
俗にこれを勘違いといふ。
「確かに、ナルミは過去に単独で潜入任務をこなし、成功させた実績がある。……ふっ、相手として不足はない!!」
「ですが兄様、これは流石に兄様だけでは無理です。この巨大な城に隠れているナルミを単独で見つけるのは、無謀としか言えません」
「あ、ならいっその事、全兵士の今日の訓練をこれにしてみてはいかがでしょうか?」
「でもシルバ、城にいる数だけで足りと思うか?」
「無理ですね。なんたって相手は私の先生ですよ?そう簡単には捕まるはずがないですが、いい訓練にはなるはずですよ?」
こうして、ナルミの知らない所で城をあげた鬼ごっこが企画実行されるのであった。
本人からしたら不幸というかはた迷惑な話である。
「あ、ならいっその事ナルミを最初に捕まえた者はナルミの弟子になれるというのはどうだ?」
「それはいいですね。そうすればみんな本気で訓練にのぞむでしょう。兄様もたまにはいいこと言いますね」
「……先生は賞品じゃないんですよ?大丈夫だとは思いますが、それで先生に変な危害を与える輩がいたら、私はそいつをどんな手を使ってでも虐殺しますからね」
……とりあえず、ナルミからしたらこのヤンデレ少女に異常なまでに依存されている事が今一番不幸だと答えるだろう。
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