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ドン=カルロ
第一幕その四
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第一幕その四

「御覧になって下さい、宮殿があんなに明るく」
 エリザベッタはカルロに顔を向けて言った。
「はい、何と美しい」
 カルロはその光を見て曇りのない顔で答えた。
「これで我々は永遠に結ばれることとなったのです」
「はい、私は貴方の国に希望と共に参ります」
 二人は互いの顔を見やって言った。そこに先程の従者達が戻ってきた。
「姫様」
 そして彼等はエリザベッタの下に跪いた。
「はい」
 エリザベッタは喜びの表情を打ち消して謹厳な表情で従者達に向き直った。
「よいお知らせです」
 その中の一人が言った。
「どのようなものですか?」
 聞かずともわかっていた。彼女は喜びを内心に押し殺しながらそれを聞いていた。
「めでとうございます、姫様は結婚なさることになりました」
「はい」
 思わず笑みが顔にこぼれそうになる。それを覆い隠すのに多大な努力が必要であった。
「姫様はスペイン王フェリペ二世陛下のお妃になられるのです」
「え!?」
 これにはエリザベッタもカルロも目を点にさせた。
「何かの間違いではないですか!?」
 エリザベッタは従者達に対して言った。
「何がでしょうか!?」
 従者達もキョトン、として顔を上げた。
「私の結婚の相手です」
 彼女は狐につままれたような顔で言った。
「私はカルロ殿下と結婚する筈ですが」
「予定が変わったのです」
 従者達は落ち着いた声で言った。
「そんな・・・・・・」
 その言葉にエリザベッタもカルロも顔を青くさせた。
「父君が決められたのです。フェリペ二世陛下には今奥方がおられないので」
 この時フェリペ二世は独身であった。彼の二番目の妻イングランド女王メアリー一世はこの時既にこの世を去っていた。
「何ということ・・・・・・」
 だが皆二人の青くなった顔に気付かない。喜びでそうなっているのだと思った。
「まあそんなに驚かれないで。スペイン王はとても真面目な方だそうですよ」
 従者達はエリザベッタを宥めた。そして小姓や従僕達が姿を現わした。
 民衆達もいる。彼等は口々に王女を称えた。
「姫様、おめでとうございます。この度のご結婚はフランスとスペインに平和と繁栄をもたらすことでしょう」
 そうであった。この結婚には両国の運命がかかっているのだ。それがわからぬエリザベッタやカルロではなかった。彼等もまた王家の者なのだから。
「これから姫様は玉座にお登りになられます。そしてスペインをその御心で照らされることでしょう」
「有り難うございます」
 彼女は何とか平常心を保ちつつそれに笑顔で応えた。だがその顔はまだ青いままである。
「何という惨い運命だ」
 カルロは思わず呟いた。だがそれに気付く者はいない。
 王妃の側近である一人の貴婦人
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