第三十二話〜R2・人と想い〜
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を通じ、大宦官の実態を公にするという策が成功した証であった。先ほどのゼロと大宦官の会話はリアルタイムで各地に流され、更に大宦官の指示する軍が天子を殺そうとした映像が流されたのだ。
それの映像を見たシュナイゼルもブリタニア軍を撤退させ、大宦官を見限る。
完全に“国”から孤立した大宦官は最終的に星刻に殺され、中華連邦での戦いは一度幕引きとなった。
六課のメンバーはこれまで皇歴の世界を見て来て、どんな人であっても死ぬ際には少なからず悲しみを覚えたが、大宦官が死ぬ際にはそんな感情は全く湧いてこなかった。
戦いが終わり、天子と星刻の再会を見守っていた一同の中、黒の騎士団の参謀を務めるディートハルトがゼロに進言する。
「天子がブリタニアとの婚儀を破棄したことを世界に知らせる必要があります。その際、我々との関係を明確にするために、日本人の誰かと結婚していただく必要があるかと」
「フム………」
ルルーシュは仮面の下でほくそ笑みながらディートハルトの言葉に納得しかけるが、その場にいた女性陣が非難の声をあげる。その女性の中にはC.C.も混じっており、ルルーシュは狼狽する。
完全に困惑しているゼロは声だけは冷静のまま、隣にいるライに意見を求めた。
「ムゥ………ライ、お前はどう思う?」
「ゼロ、例え話をしようか。もし君の身内に妹がいて、その妹が政治的理由で見ず知らずの男と結婚―――」
「天子よ!!未来は君のものだ!!!」
ライが全てを言い終える前にゼロは声高に宣言した。いきなりの言葉に皆が唖然としたが、ディートハルトは未だに異を唱える。
「しかし!力関係を明確にしなければ」
ゼロが何か言おうとする前に今度はライが言葉を発した。
「上下関係だけで他者を縛るのはブリタニアと同じやり方だ。僕たちは敵対国と同じやり方を選ぶべきではない」
「だが……」
「今回の戦闘で、人の持つ想いの力はあなたも理解したはずだ。もしそれを無視すれば、今度は僕らが大宦官と同じ存在になることになる」
ライの言葉に一理あると感じたのかディートハルトは納得した。その遣り取りを見ていた星刻は微笑を浮かべながらゼロとライに言う。
「ゼロ、今回のことで君のことが少し分かった気がするよ。そして……ライ君と言ったか、君もただの士官にしておくには勿体無い程の人物だ」
そしてゼロと星刻は握手を交わす。
この時から黒の騎士団は『国』という力を手に入れる。それは黒の騎士団が日本だけでなく世界に一歩を踏み出すための大きな力であった。
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