12 「師弟」
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とを言いたいわけじゃないからね。君には別の武器がいいと思うんだ。今まで1年間、その太刀とつきあってきたわけだけど、それだってもちろん負の要素にはならない。幸いまだ駆け出しだし、癖もすぐ抜けるだろう。小柄でも、腕力に自信があまり無くても、扱える武器がある」
「…それは?」
「双剣。圧倒的な手数で相手を翻弄し、使い方次第では大剣と比べても遜色ない火力を発揮する。おまけに抜刀しながらでも走り回れる上、鬼人化すれば乱舞と、それからスーパーアーマーを手に入れられる」
「……すーぱーあーまー?」
「あ、いや、なんでもない。兎に角、一撃の重さは確かにないし、瞬間的火力も当然他の武器に持っていかれるんだけど、連撃でそれをカバーする手数型スピード系武器が双剣だ。むしろこういう武器は君みたいな小柄なハンター向けといっても過言じゃない。何せ、この場合モノ言うのは腕力じゃなくて、如何に多くの攻撃を当てるかなんだから。小柄のほうが動きが小さくて済むうえ、多少厳しいところでも潜り込んで攻撃を回避することもできる。……まあ、これは上級者になってからだけどね」
そう言われると、なんだか双剣こそ自分に向いているのではないかと思ってしまう。
太刀には限界があると聞いてうなずけた。双剣が自分に向いているのではと提案されて、それも確かにとうなずける。もう1つ、リーゼロッテが鞍替えするのに躊躇する理由は――
「安心して。確かに俺は太刀使いであり弓使いでもあるけど、双剣もそこそこいけるんだ。教えることに問題はない。…君の今までの経験も、無にはならない。太刀としての身のこなしは、そのまま双剣でも生かされるだろう」
「そうなんですか? ……じゃあ、変えます」
そんなにこの男のことをほいほい信用してもいいのか。どこかで思ったことだが、リーゼロッテは大丈夫だろうと思った。この人はとてもいい人だ。今まで大した付き合いもないが、そう信じられた。
すこし待つよう言われて家の中に引っ込んだナギが手にしてきたものは、なんと双剣だった。暫く使っていないように見受けられたが、それでもモンスターの素材をふんだんに使って作られたそれは、まだ十分使えるものと判断できる。
「君に」
渡された双剣の素材は、よく見ると見慣れたジャギィの、いや、これはドスジャギィのものだ。
「それは随分前に作ったものだけど、まだ使えるから、君にあげる。こっちが口を出して武器替えさせてしまったから、お詫びに」
「そんなっ」
「いいんだ。それに君、いきなり武器を作れるほど持ち金と素材はあるの?」
「……いいえ……」
未だにお小遣い制の上、そう頻繁に討伐に行っているわけではないリーゼロッテの懐は、慢性的に寒い。
「ね。受け取っておいて損はないだろ? 俺ももう使わないし。それは『ジ
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