12 「師弟」
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いていけず目をぱちくりさせたリーゼだったが、話を切り出した。
「ええと…母が、昔ハンターだったんです」
「ツェツィーリエさんが?」
そうは見えなかったのだろう。驚いた表情(下半分が見えないので目で判断するしかないのだが)をするナギに、ひとつ頷いた。むこうではエリザが突然座り込みはじめた2人を訝しげに見つつ、言われたとおり無言で矢を射続けている。丸太に矢が溜まるたび、ルイーズが素早く矢を引っこ抜いてはエリザの矢筒に入れていた。良い連携プレーだ。
「はい。それで、母は太刀を使っていて……別に怪我をしたわけじゃないんですけど、お父さん――父と結婚する時にきっぱりやめたと言っていました。多分、父が、いつ死ぬかもわからないハンター業をやめるよう、説得したんだとおもいます。わたしの時も随分反対されました」
「なるほど。だから、か…」
「はい」
暫く腕を組んで頭をひねっているナギは、これからどう話そうか迷っているのだろうか。できるだけ優しく、穏やかに、リーゼが傷つかないよう言ってくれようとしているのだろう。彼の気性が、こんな辺鄙なところで住んでいられるとは思えないほど穏やかなのは、リーゼロッテにも大分理解できていた。なんせ、朝っぱらからいきなり緊急用狼煙を上げて駆けつけさせても(事前に村長には言ってあるから、村の方は問題ない)、文句1つ言わないのだ。愚痴っぽく注意はしたが。
そもそも狼煙を上げて、本当にすぐ、文字通り飛んで来てくれるとは正直思っていなかったから、嬉しかった。約束を守る人なのだとわかった。
「遠慮しないで、ズバっと言ってください」
「……あのね。太刀の前身というか、太刀っていう武器は、大剣からの派生であるということは知っているよね。まあ、軽量化したことで君みたいな女性にも持てるようになったわけだけど…」
“君みたいな女性”なんて言われたのは初めてで、ちょっとどきっとした。村の皆はリーゼを子供扱い(実際子供なのだが)するから、慣れていない。
「正直言うと、君は太刀にふりまわされている。小型の鳥竜種は余裕。動きも悪いわけではないから、このまま鍛錬していけば大型鳥竜種やアオアシラ以外の牙獣種にも手は出せるだろう。だが、小さなミスや隙も見せられない飛竜種相手には、少々分が悪くなると言わざるを得ない」
「…つまり、」
「君に太刀は向いていないだろう。得物の長さと、刃の重さも、長く戦っているときついんじゃないかな?」
図星。たしかにそうだった。だから、他のハンターよりもこまめに休憩をとっていたし、沢山道具も使っていた。体力も随分減るが、それでも最近はスタミナもついてきたと思っていたのに。
しゅんと項垂れるリーゼロッテに、慌てたような声でナギが続けた。
「だからハンターをやめろとか、そんなこ
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