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Monster Hunter ―残影の竜騎士―
12 「師弟」
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「その太刀って…」
「ああ、俺のだけど?」
「誰かの形見、とかじゃなくてですか?」
「いや。違う。俺が素材を集めて作った。正真正銘、俺のものだ」
「旦那は元は太刀使いだったのニャ。でもこんニャところで住んでいると太刀だけじゃ不便だから、弓も使い始めたのニャ。だから、狩りの心得だけじゃニャくて、太刀の鍛錬も受けるといいニャ、リーゼ」
「2つ使えるんですか? え、弓が本業じゃない!?」

 あの実力を披露しておいて、弓はあとから始めたものだという。さしものエリザもびっくり仰天した。
 尊敬やら驚嘆の眼差しで見られるのがちょっと居心地悪いナギは、準備運動などするように言うとくるりと背を向け家に戻っていった。

「2種類以上の武器に手を出して尚、銀火竜を狩れる程の実力者…。まあ、本当のところどうかは分かってはいないわけだけど……、…あたしたち、すごい人の弟子になっちゃったわね」
「弟子?」
「そりゃそうでしょ。あたしは弓、あんたは太刀を教えてもらうんだから。……強くなれるわ。なってみせる! 村を守るのは、あたしよ!」
「わ、わたしだって!」
「はいはい、やる気も高まってきたところで、早速いくぞー」
「「はいっ」」

 まずエリザの弓から見る。
 適当に丸太を立てて矢を射らせる。ひゅっと風を切った矢は、僅かに丸太を逸れ地面に突き刺さった。うっ、ととなりからエリザのうめき声が聞こえる。ちらりと伺うように向けられた視線と視線がかち合い、ナギは目をそらした。丸太の方を見てこれからの方針をたてる。

「うん。まずは精密さを上げよう。とりあえず丸太に印を作るから、百発百中になるまでやること。走りながらや特殊な射方はそのあと。1日500本は矢を射ること。無理したとしても700本くらいでやめておいてね。肩を傷めたら元も子もないから」
「はぁい」
「それから、もう1回構えだけしてくれる? 矢もつがえて。…うん、ここをもうちょっと上げて……」

 あまり乗り気でなかったくせに、なんだかんだで懇切丁寧に教えているナギの後ろ姿を、とりあえず素振りしながら見ているリーゼ。ルイーズは膝の上でナルガSネコ手裏剣をくるくる回して遊びながら扉の横に置いてある樽の上で足をぶらぶらしている。いや、遊んでいるかと思ったら、ちゃんと刃を研いでいた。

「……よし、そのまま水平に…そう。数日は通常射撃の精密度を上げる訓練をしよう。最後に二十射でもして毎日の的中率でも出そうか。ルイーズ、的を書くの手伝ってくれ。お前手先器用だろ、頼むよ」
「にゃふー♪ そう言われたら断れニャいニャー♪」
「じゃあ次、リーゼロッテちゃん」
「あ、リーゼって、読んでください」
「じゃあ、リーゼ」

 ペイントの実を倉庫から出して、手頃な木の枝で丸太に丸をいくつも連ねて
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