12 「師弟」
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てほしい。毎回この方法で呼ばれたら寿命が縮む」
「ニャアを入れるニャ! 3人と1匹ニャ!」
「すまんすまん」
正直無理すれば乗れないこともないのだが、それだとナギが少女のどちらかと密接することになる。いくら慣れ始めてきたとはいえ、いくらなんでもナギにそれは無理だった。ぷんすか怒るルイーズの頭をぽんぽんなでて、ついてくるように2人に背を向けた。が、一歩も踏み出すことなく再びエリザの声で立ち止まる。
「あああ!! それ! その太刀!!」
「え? あれ、太刀……?」
眉をひそめるリーゼと、目をきらきら輝かせるエリザ。彼女のその目は獲物を狙う火竜の如く鋭い。ナギの背中に収められている銀色のそれを食い入るように見つめる。
「そのいぶし銀の輝き……柄の紅い平紐……なにより、醸し出される王者の風格! これって、まさか…まさかまさか飛竜刀【銀】!? ね、そうでしょ!!?」
「え……ええええ!!?」
それならばリーゼも聞いたことがある。旧大陸に生息する空の王者リオレウスの希少種、【銀の太陽】とも称される銀火竜の素材をふんだんに使った一刀。
そもそも新大陸では伝説的存在とされる極めて稀な銀火竜の素材を手に入れるのは至難を極める上、その戦闘力と凶暴性は飛竜種の中でも飛び抜けて高い。たまたま抜け落ちた鱗1枚を売るだけで家が建つ程の価値を秘めた、最早宝飾品に匹敵するレア度を誇るそれが、一体幾ら使われているのだろう。偶然拾った1枚では当然作れない。つまり、その刀を作った人物は銀火竜を狩れる程の実力者ということになる。
この青年が、成し遂げたのだろうか。それとも父か、知り合いのもの――形見、だろうか。
「嘘、嘘嘘嘘! 本当に!? ねえ、ちょっと、見せて!!」
うんざりした顔をしながら背から太刀を外した。
「普通の太刀より重い。足の上に落とさないで」
「ええもちろん腕力には自信があるからって、重ッ」
ナギが手を離した瞬間ガクンとエリザの腕が下がる。咄嗟にナギが太刀を持ち上げ事なきを得たが、肋骨の次は足の骨を折るところだったエリザは冷や汗をかいた。もう一度そっと受け取ると、今度はふるふる震えながらも鞘を愛おし気に撫でた。
「ああ…まさか銀火竜の素材にお目にかかれるなんて……。にしても重いわ。一般的な大剣よりも重いってどうなのよ。よくこんなの片手で振り回せるわね…」
リーゼも持たせてもらったのだが、確かに大剣並みの――エリザが言うには大剣よりも重いらしいが――重みだった。リーゼだったら抜刀すらできまい。
ナギについて後ろをついて行くあいだ、エリザは絶え間なく太刀について語り続けていた。話しながらもナギの家への道順を覚えるとは、リーゼロッテには真似できない芸当だ。
「飛竜刀【銀】。鍛冶場の図
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