12 「師弟」
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だけで村人は白い目でルイーズを見るだろう。寧ろあの受付嬢2人がちょっと珍しいタイプの人間だった。
ナギはふっと笑って無言でルイーズの頭をぐしぐしなでた。
(可愛いやつめ)
こういうところは、素直に娘らしいと思う。普段オバハンオバハン言っているし、実際そうした行動が多いのも確かだが、ふとした拍子に「そういえばこいつも未だ若い猫娘だった」と思い出すのだ。
ルイーズも今ナギが何を思い頭をなでているのかわかっているから、自慢の艶やかな黒毛がやや乱雑に扱われてもおとなしく撫でられているのだった。色々言うし言われるものの、ルイーズもナギのことは好いているから。
愛すべき穏やかな日常は、再びあの娘によって唐突に終わりを迎えた。
ピィィ!
ルイーズ共々ばたばたと外に出る。鳥の鳴き声に聞こえるかもしれないが、今のはデュラクの声である。ちょっと焦っているような鋭さがあった。
「どうした!?」
デュラクが見つめる先には、赤い狼煙。緊急用の狼煙だ。まさか、村に何かあったのか。
慌てて太刀を引っつかむとデュラクの背に飛び乗り、ルイーズを抱えるとその背にしっかりつかまった。ぶわっと飛び立つ風圧に、ばたばたと屋根の木材が揺れる。
上空から狼煙の方向を見てみると、村より大分近いことに気づいた。村ではなく渓流の狩場であげた狼煙だ。何かまた大型のモンスターでも来たのかと焦るが、近づくにつれそれは全く違う杞憂に終わることがわかった。
狼煙が立ち上っているのは、渓流にある昔の村の跡地。ハンター達の間ではエリア4と呼ばれる場所だった。広いフィールドにはケルビが数頭見えるのみ。いや、それと人影が2つ、あった。遠目でもわかるそのシルエットは、明らかに少女のもの。1人はぴょんぴょん跳ねてこっちに手を振り、もう1人はもじもじと手を弄っていた。
「……デュラク、回れ右」
ピィ?
いいのか、と問いつつも上空で旋回しUターンを始めたナギ達に、エリザの怒声が響いた。
「こぉらぁ――!!! 降りてきなさいよ! 約束でしょ――!!?」
「…約束?」
とりあえず一旦家に戻ることは諦め、ぐるぐる旋回しながら何やら自分がしたという約束について記憶をたどる。
「あれじゃニャいかニャ? エリザの弓の手ほどきをするっていう」
「ああ、そういえば…」
結局エリア4に降り立ち、相棒の背から飛び降りた。ケルビがデュラクの着陸と同時に蜘蛛の子を散らすように逃げ出すが、デュラクがそれを追う気配はない。
少女たちは物珍しそうにこちらを見つつも、恐る恐る近づいてきた。
「約束って…」
「弓、教えなさいよ。…じゃなくて、教えてください」
「ほら、やっぱりニャ」
「そういえばそんなこと言ってたな…。で、そち
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