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ドン=カルロ
第四幕その九
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た公女に対して言った。
「え・・・・・・」
「その心は伝わりました。カルロは明日私と会います」
「御気をつけて」
 公女は感謝した表情でそう言った。
「異端審問官達が捜しておりますから」
「その様なものもう怖くはありません」
 彼女は毅然として言った。
「ポーザ公爵は命を賭けてあの方を救われました」
 彼女もまたロドリーゴの心がわかったのだ。
「そして貴女も全てを賭けてあの方の為に動かれました」
 この煽動は異端審問官達に感づかれれば命にかかわる。公女はそれでも動いたのだ。
「そして私も」
 彼女は言葉を続けた。
「あの方の為、フランドルの為に行きます、あの聖堂へ」
「王妃様・・・・・・」
 公女はそれを聞いて頭を垂れた。
「これが永遠の別れになるかも知れません」
 彼女はそう言うと公女に顔を向けた。
「ご機嫌よう」
「はい・・・・・・」
 エリザベッタも全てを棄てた。実に澄みきった表情となっていた。
 公女はそれを見送った。そして夜の世界にその姿を消していった。

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