黄巾の章
第4話 「貴方って、嘘つきね」
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れられんよ」
「そう。じゃあ交渉は決裂ね」
「ああ。残念だが」
「嘘おっしゃい。最初から断る気だったくせに」
「なに、条件次第な部分もあったさ。ただ、そのハードル……高さが異様に高かったがな」
「そう」
この男は飼えないわね……いずれ潰すしかないかもしれない。
「春蘭、秋蘭、帰るわよ。すぐに兵を纏めなさい」
「ハッ!」
「華琳様、こいつは危険です。今……」
「私の命令が聞けないというの、春蘭!」
「……御意」
春蘭は、キッ、と北郷を睨むと陣のほうへ引き上げていった。
「ああ、そうだ、北郷。関羽には言ったけど、あの陣にある糧食や資材は好きになさい。手はつけていないから」
「ほう。なら、なんで制圧したのかな?」
「気紛れよ。さっきもあなたが言った残敵掃討して迎える気だったのよ。私としたことが失策だったかしら」
「かもな……まあそれ以外の目的があったんだろうが、それは不発に終わったようだな」
!!
……この男、どこまで知っているのかしら。
いえ、知るはずがない。ただの邪推ね。
「……なんのことかしらね。じゃあね、またどこかで会いましょう」
「ああ……相対する戦場でないことを祈っているよ」
「貴方って、嘘つきね」
私はその場を後にする。
北郷盾二……彼はきっと私の覇道に立ち塞がる。
そう確信めいた予感が、私の身を震わせた。
―― 盾二 side ――
「ふう……」
俺は息を吐く。
まいった、あれが曹操、か……
乱世の姦雄といわれるだけはある。
魏の初代皇帝か……まったく。
劉備がいるなら曹操や孫権がいるのも当然だったな。
もっと早くに気付くべきだった……本当に三国志を適当に読んでいたことが悔やまれる。
何度目かわからないが、こんなときに一刀がいれば……そう思ってしまう。
「ご主人様……」
桃香がこちらを上目遣いに見てくる。
どうした……あ。
しまった。桃香に断りなく一方的に断ってしまった。
「すまんな、桃香。勝手に断ってしまって」
「ううん。それは……ご主人様が決めたことだし、たぶん深い考えがあるんでしょ?」
「ああ。さっきも言ったとおりだ。相手は官軍。絶対に義勇軍は捨て駒にされる。俺は俺と共に戦った仲間をそんな目に合わせたくはない」
「うーん……でも、あの曹操さんはそんなひどい官軍の人には見えなかったけど……」
「桃香、ひどい官軍ってのは愚かなって意味か? それとも強か(したたか)な官軍って意味か?」
「え……?」
「桃香が思い描いているのは恐らく愚かな方。で、曹操は強か(したたか)な官軍だ。強か、という意味には狡猾という意味もあるのさ」
「…………」
「俺
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