黄巾の章
第4話 「貴方って、嘘つきね」
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の評価ですもの」
「……まあ、当たらずも遠からず、ということにしておくよ。恩を受けた立場上な」
この男……面白いわね。
「ふふ、面白いわね……貴方、私の下に来る気はないかしら?」
「む? 話がずれていないか? 手を組むことではなかったのが?」
「同じことよ。私の元に来るのならば義勇軍を全て受け入れてもいい。関羽や張飛たちも受け入れましょう。どうかしら?」
思わず口に出た勧誘の言葉。
自分でも驚いてはいるけど、実力があるものを引き入れるのはむしろ本意ではある。
「俺だけでなく愛紗たちも、ねえ……」
「それで? 貴方の決定は?」
「ふむ……返答は、すぐでなければダメ、と?」
「当然よ。私は忙しいの。今も他の黄巾党の情報を集めているところよ。すぐにでも動いて討伐しなければならない」
「……なるほど。さすがは音に聞こえた曹孟徳、か」
……この男。私の字を知っている?
「……貴方もさすがね。私の字はどうやって知ったのかしら?」
「ああ、それは簡単だ。君の事を知っている人間から前知識で教えてもらっただけだからな」
「へえ、誰かしら」
「さてね。だれが書いたか知らない歴史書だろうよ」
「……馬鹿にしているの?」
「いやいや、冗談に思えて本当なんだな」
歴史書……?
「それも”天の知識”というものかしら」
「ふむ……そう言っても過言じゃないか。俺も言われて気付いたが」
「……どうやら人をおちょくるのが好きみたいね」
「そんなつもりはさらさらないが……まあ、好意から始まっていない外交なんてこんなもんだろ」
「そう……で?」
「ふむ。やはりわかりづらいか。返答は……断る、だ」
……もう少し利巧かと思ったのだけど。
「理由を聞かせてもらって良いかしら?」
「ああ。まず第一。君らの兵の弾除け……いや、矢避けと言うべきか? 正規兵の代わりに義勇軍が傷つくような作戦を立てられるのが目に見えていること」
「……」
「第二に、君らは信義にもとるような行為をしている。例え残敵掃討とはいえ、勝ち戦している相手の手柄を横から掠め取るような行為をする者を、信用も信頼もできん」
「……そう」
「第三に、君は『今は』といったな。そして『唯一の道』とも。そうして相手の思考を狭め、都合の良いように誘導する話術をする輩は、大概どこかで裏切るもんだ。俺は裏切りをするのもされるのも嫌いでね」
裏切る……そう聞いて私の柳眉が逆立つ。
「……それは私の誇りを蔑ろにしていると、とっていいのかしら?」
「君の誇りがどんなものか、俺は知らない。だが、自分に誇りがあるように他人にも誇りがある。それを話術で煙に巻くような言い方をする相手に、誇りを語られても受け入
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