黄巾の章
第4話 「貴方って、嘘つきね」
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程も聞いたけど貴方は手を組むことでいいのね?」
「えっと……」
桃香様が逡巡したとき――
「その話はちょっと待ってもらおうか」
「ご主人様!」
そこにご主人様と朱里が立っていた。
―― 曹操 side ――
(この男――)
私はかけられた声に目を見開く。
その時、その場にいた黒ずくめの男に驚愕した。
その、異様な覇気に。
(私と――同種の存在というの!?)
その男は別段、なんともない男に見える。
だが、その男が纏っている覇気が……まるで泰山府君のような威圧感を持っていた。
「! 姉者!」
「! 華琳様! お下がりください!」
春蘭も秋蘭も私の覇気に触れたことのある者。
一瞬で気付いたのだろう。
この男が危険であると――
「ご主人様!」
「ご主人様!」
私に相対していた劉備と関羽が、あの男に駆け寄る。
そう……
「あなたが劉備の言った天の御遣いってことかしら?」
私は内心の震えを叱咤しながら、平静を装う。
男は、ほう、と一瞬見下すような目をした。
それが私の顔を一瞬歪ませる。
「報告に受けた曹操、というのは貴方のようだな。俺は北郷盾二。劉備軍の……参謀のようなものだ」
「参謀……軍師ということね?」
「まあ、そう思ってもらってかまわない」
男はそういって、私の傍に来る。
「貴様! それ以上、近寄るな!」
春蘭の怒号に殺気が籠もる。
だが、男――北郷は涼風を受けたような様子でこちらに数歩、歩を進ませ止まった。
「君が誰かは知らないが、手を組みにきたという割に殺気満載だな。とても友好的とは思えんが?」
「くっ……」
「春蘭、下がりなさい」
「華琳様!」
「聞こえないのか、夏候惇!」
「!」
私の覇気をその身に受け、春蘭は下がる。
「失礼したわね。我が名は曹操。陳留刺史よ。貴方の名は聞いているわ。公孫賛の四客将と呼ばれた一人ね?」
「……その名が知れ渡っているのか。まあいい。それで?」
「さっきも言ったとおりよ。今は私たちと手を組みなさい。それがこの乱を早く鎮める唯一の道よ」
「ほう……たかが義勇軍に手を組みたい。そうおっしゃるか」
北郷は、そういって獰猛に笑う。
まるで猛虎ね……
「ええ。あなたは弱兵で知られた公孫賛の部隊を瞬く間に纏め、客将であるにもかかわらず賊相手とはいえ連戦連勝。その上、ここには関羽、張飛という優れた武人も行動を共にしている。引き込みたいと思うのは当然じゃないかしら?」
「弱兵、ね……白蓮も舐められたものだな」
「仕方ないわよ。公孫賛の評価は『善政は敷けども優政ではない』が大陸
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