黄巾の章
第4話 「貴方って、嘘つきね」
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という意思より、暴れられることや恨みを晴らすという思惑が強い。
だからこそ、存分に殺させ、指揮官側への恨みのないように黄巾党を殺しつくす。
最初、そのことを愛紗たちに話すと、さすがに顔を顰めたものの、義勇軍に入った人間の恨みもわかるとのことで一度だけ勧告し、拒否するなら殺しつくす、と決定した。
「で、被害は?」
「零です。すごいです、盾二様! 一万を六千で相手して、一人も味方を失わずに完全に殲滅しました!」
報告を纏めた朱里が、興奮気味に声を上げる。
その場にいた桃香たちもお互い手を叩いたり、抱きついたりして喜んでいた。
「さっすがご主人様だよね! 誰一人として失わずに相手を倒しちゃうんだもん! きゃ〜、もうムテキ!」
「桃香様、はしゃぎすぎです……でも、気持ちはわかります」
「さっすがお兄ちゃんなのだ!」
桃香たち三人は、きゃいきゃいと騒いでいる。
「こらこら……まだ終わってないよ。これからこいつらの陣に行って、残された糧食などを回収しないとね。雛里、準備はどう?」
「はい、盾二様。ご命令どおり、死んだ黄巾党の人たちは落とし穴に集めて火をかけます。その後、全部埋めなおします」
「そうか、じゃあ雛里は兵千ほど率いてその処理を頼む。入らない分は纏めてから火にかけて。死体は放置しないように気をつけてね。俺たちは残り五千で陣へ行き、糧食と武器を手に入れるとしよう。朱里!」
「はい、わかりました! 皆さん! 疲れているとは思いますが、もう一踏ん張りです! これが終われば暖かいご飯が食べられますよ!」
朱里の言葉に、義勇兵達がオーッ! と声を上げる。
「じゃあ、桃香、愛紗、鈴々、朱里。四人とも放棄されている陣に向かおう。たぶん昨日の夜襲で負傷している黄巾党もいるだろうから、抵抗の意思がなければ捕縛。意思があるなら見せしめにして」
「御意。それでほかの負傷兵の戦意を削ぐのですね?」
「さすが愛紗、そういうこと。殺一警百って言葉だったかな? 一人殺して百人に警告するってね。割とポピュラー……よくあることだよ」
「わかりました。では、先行します! 関羽隊、でるぞ!」
「張飛隊も出るのだ!」
二千ずつ分かれた関羽隊と張飛隊が、それぞれ愛紗と鈴々に率いられて先行する。
「北郷隊は、半数を雛里に預け、半数を俺と朱里が率いる。雛里、死体の処理は頼む。つらいかもしれないが、しっかりな」
「はい、わかっています……ちゃんと見届けます」
「よし。朱里、俺たちは陣のほうだ。俺たちの策がどんな結果になったか、しっかり目に焼き付けろ」
「はい!」
俺の言葉に覚悟を決めた朱里が、ぐっと顔を引き締めて歩き出す。
さて……向こうもかなり人死にがでていたはずだ。
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