第二話 ここってどこなんだろう?
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闘悟は痛みによって目が覚めた。
どうやら転んだ拍子に頭を打ったみたいだ。
「痛ててて……」
頭を擦(さす)りながら上半身を起こす。
だが、意識がハッキリしてきたことで、ある違和感を覚える。
左手にフサッとしたものを感じる。
それは草だった。
「え? 何で? 草?」
闘悟は周囲に目を向ける。
そこは木々が生い茂る場所だった。
「…………森? 何で?」
当然の疑問だった。
さっきまで自分の家の和室にいた。
それなのに、どうしてこんな所にいるのか理解不能だった。
そして、呆然としながらも、自分に何が起こっているのか分析し始めた。
こう見えて順応力も高く、冷静な性格を有している自分を褒めたかった。
確か部屋にいたはずだ。
和室の掃除をしていた。
そして畳を上げて……。
「……扉……そうだ扉だ!」
思い出した。
いきなり扉が開いて、それに吸い込まれてしまった。
闘悟は立ち上がり、もう一度周りに目を向ける。
見たことも無い実をつけている木々。
ラフレシアのようにでかい花。
闘悟は知識欲が凄く、興味を持ったものは満足いくまで知識を詰め込む。
一時期草花に興味を持った経験から、いろんな種類の草花を調べたことがあった。
完璧に網羅(もうら)したわけではないが、それでも専門家並みの知識は手に入れているはずだ。
それなのに、見たこともない木の実や花に驚愕した。
木の実はともかく、これほど大きな花なら、有名になっていてもおかしくはない。
しかし、調べたどの事典にもこんな花は記載されてはいなかった。
だからこそ、急に知識欲が疼き出した。
急いで花の元へ向かう。
そして、よく観察する。
見れば見るほどおかしな花だった。
全長二メートルはある。
花弁は赤色で、実の部分が黄色だ。
花粉も大量に付着している。
次に木の実も調べることにした。
木を揺すって実を落とす。
「へぇ、大きさはリンゴくらいだけど……匂いは…………苺(いちご)みたいだ」
形は丸くて、黄緑色をしている。
「ホントに何の実なんだ?」
少なくとも今まで見たことは無い。
「食べられるのかな?」
美味しそうな苺の香りはするものの、これが食用だとは限らない。
味見しようかしまいか悩んでいる時、いきなり叫び声が聞こえた。
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