第一話 扉に吸い込まれました!
[1/2]
前書き [1]次 最後 [2]次話
赤地闘悟(あかじとうご)は困惑していた。
これはどういうことなのか。
とりあえず落ち着いて考えてみよう。
朝起きて闘悟は学校に出掛けた。
今日も何事も無く平和で退屈な授業を受けた。
そして、授業が終わり、部活もしていないので真っ直ぐ家に帰ってきた。
両親は早くに死んでしまってるからいない。
幸いにも莫大(ばくだい)な保険金のお蔭で生活には困ってはいない。
無駄に広い家には闘悟一人で暮らしている。
今日も誰もいない寂しい家に帰宅し、その寂しさを紛らわすように、家の掃除でもしようと思い立った。
そこで、仏壇がある和室を綺麗にしようと畳をひっくり返した瞬間…………そこには扉がありましたとさ。
「ええっ!? どういうことだっ!?」
闘悟は目の前の現実に戸惑い頭を抱える。
扉? 何で畳の下に扉があるんだ?
しかも両開きだし。
いや、そんなことはどうでもいいんだ。
落ち着けオレ!
闘悟は一度深く深呼吸する。
そして、じっくりと扉を観察する。
扉は畳一畳分の大きさだ。
全体的に黄金色で、変な模様が描かれてある。
「こ、これってよくゲームとかで見る魔法陣みたいだな」
その魔法陣のようなものが、扉の中心に描かれてあった。
「でも、これってどうやって開けるんだ?」
見たところ、取っ手らしきものは無かった。
押して開く扉なのかとも思ったが、だとすれば、扉自身の重さで開いているだろうという予想をする。
そもそも、地面側に扉を造る意図が分からない。
「ん? いや、もしかして隠し金庫とか?」
だが、その考えに至り急に熱が冷めた。
仮に莫大な財宝があったとしても、今や闘悟は金には困ってはいない。
というより、あまり物欲が無い闘悟にとっては、金の価値は低いものだった。
闘悟は腕を組んで考える。
「ん〜どうするべきか……開けるべきか……無かったことにするべきか……」
闘悟はしばらく考えて、手をポンと叩く。
「よし、忘れよう!」
そう思い畳を戻そうと立ち上がった時、いきなり扉が輝きだす。
「な、何だ!?」
そして、扉がゆっくりと開いていく。
眩しさを腕で防ごうとする。
顔をしかめながら、扉から離れようとした瞬間、頭がくらっとした。
足元がおぼつかなくなり、不運なことに置いていた畳に躓(つまづ)く。
「うわっと!」
え? まさかこの展開は?
そう思った時はもう遅かった。
体が扉の方に流れていく。
踏ん張ろうとしても、何かに吸い込まれるように引き寄せられる。
そして……
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ
前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ