第百二十一話 四人の想いその九
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「あんたのその人なりに惚れたからね」
「侠か」
「それかもね。友っていうのかね」
阿国が自分が慶次に抱いている感情は何かと自分自身で考えながらそのうえで答えたの。
「それだね」
「それか」
「あんたとはそれになりたいね」
「そうじゃな。わしもじゃ」
慶次も笑って応える。
「阿国殿と友になりたい」
「そう言ってくれるんだね」
「うむ、それでだが」
慶次は今度は幸村と兼続を見ながら言う。
わしが友となりたいのはな」
「わしか」
「それがしともか」
「うむ、そうなりたい」
まさにそうだというのだ。
「友になりたいのだが」
「家は違う」
幸村はまずこのことを言った。
「わしは武田家の者だ」
「そうじゃな」
「そのわしと織田家の御主が友になるか」
「わしもじゃ」
兼続も言う。
「上杉家だが」
「ははは、家同士のことはあってもな」
それでもだというjのだ。
「忠義と信義はまた別じゃな」
「そして友情とも」
「それともか」
「忠義はわしもある」
だから今も織田家にいるのだ。慶次は信長の飾らない明るい性格が好きなのだ。
「そしてそれと共にだ」
「信義や友情がある」
「そう言うか」
「その通りよ」
まさにそうだというjのだ。
「わしは友情も大事jにしたい」
「では我等途もか」
「友となるか」
「今ここにある四人」
茶室の中の彼等だ。
「この四人、友とならぬか」
「仕える家も何もかもが違うのにか」
「友になれというのか」
「そうじゃ」
まさにそうだと返す慶次だった。
「心でそうならぬか」
「心で」
「それで友になるというのか」
「他に何がある」
言い換えれば、というのだ。
「友になる理由に」
「心を見て友になる」
「そうだというのか」
「それで気jに入ればな」
そしてだというのだ。
「お互いにそうであればならぬ理由はあるまい」
「そうだね。あたしもそう思うよ」
阿国は今も飲みながら言う、飲むといっても茶だ。
「心が互いに気に入れば友にならない理由はないね」
「では阿国殿はわしの友人となるか」
「ああ、いいよ」
笑顔で慶次に応えて言う。
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