第二十五話 飛ぶ魚その十
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日下部はその場で二人に海軍の敬礼をしてからそのうえで言ってきた。
「では今からだな」
「はい、今日も宜しくお願いします」
「案内お願いします」
「わかった」
日下部も頷いて返す、そうしてだった。
二人で水族館の中に入った、夜の水族館もまた独特だった。
暗い建物の中に入った。どの水槽にも光がありそれがそのまま灯りになっている。
その灯りを身ながら聖花が日下部に尋ねた。
「あの、水族館のお魚って」
「休むかどうかか」
「はい、それは」
「魚によるな」
その種類によるというのだ。
「それはな」
「あっ、鮫とかはですか」
「鮫は周回魚だ」
これは鮪もである。
「休むことなく泳ぎ続けるからな」
「そうしたお魚はなんですね」
「休まない」
そうだというのだ。
「眠る時も泳ぎながらだ」
「そうなんですね」
「この水族館の魚達もだ」
ひいてはそうなることだった。
「魚によっては休む者もいればだ」
「泳いだまま寝てるお魚もいるんですね」
「他の生き物は休んで寝る生き物も多いがな」
「そうなんですね」
「魚はそうした意味で特殊だ」
生き物としてそうだというのだ。
「始終泳いでいなければならない種類も多いからな」
「ううん、それって結構r辛いですよね」
愛実は日下部の魚の話を聞いて言った、言いながら水槽、淡水魚のコーナーの中の鯰を見ている。この魚は休んでいる。
その鯰を見ながら日下部にこう言ったのである。
「ああして寝てる子もいるのね」
「あの鯰か」
「はい、地震を予知するんですよね」
「そう言われているがな」
今も研究中で真相はまだ完全にはわからない。
「しかし鯰か」
「はい、寝てますよね」
「あの魚や穴子はそうだな」
海の魚だがこの魚もだった。
「寝るな」
「そうですよね」
「魚もそれぞれだ、そしてだ」
ここで日下部は二人にこの話をした。
「この水族館のことはわかっているな」
「はい、お魚の幽霊がですよね」
「ここで」
「そうだ、泳ぐ」
そうなるというのだ。
「この水族館の中でな」
「水槽の中でなくて宙で」
「そこで、ですよね」
「実体tがないからこそあることだ」
実態があれば魚類は水の中でしか泳ぐことは出来ない、しかし実体がなくなり霊魂だけならばどうなるかというのだ。
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