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八条学園怪異譚
第二十五話 飛ぶ魚その八
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「小田原ですよね」
「うむ、限られておる」
「それでも他の国だと」
「殆どの国の殆どの地域で城塞都市が主流となっておる」
「城壁に囲まれた」
「それだと余計にわかりやすいな」
「世界ですね」
 聖花もここで言った。
「つまりは」
「そうじゃ、町もそうじゃが学園も世界なのじゃ」
 こう二人に話す。
「一つのな」
「そうですか、つまりは」
「学園も一つの世界なんですね」
「そういうことじゃ。世界は一つじゃが無数にある」
 尚博士は哲学博士でもある、だから今哲学的に話すのである。
「だからそこで行き来すのものじゃ」
「ううん、何か難しい話ですね」
 愛実は腕を組んで言う、しかしそれはだった。
「哲学みたいな話ですね」
「そうじゃ、これは哲学じゃ」
「哲学ってわかりにくいですよね」
「わからないから哲学じゃ」
 博士自身も言うことだった。
「人間なり世界なりはな」
「それがこの世で一番難しいものなんですね」
 聖花も考えだした。
「何ていいますか」
「そうなのじゃよ。とにかくこの連中は学園の外の町なり村なり山から来ておる」
 色々な世界からだった。
「そういうことじゃ」
「それがそれぞれの世界ですか」
「ってことは私達の商店街とかも」
「あそこはいい場所だね」
 輪入道が車輪の火を回しながら言う。
「いや、どっちもね」
「ってあんたが行ってるの?私達の商店街に」
「その格好で」
「うん、行ってるよ」
 そうだと返す輪入道だった。それもあっさりと。
「この姿でね」
「滅茶苦茶目立たない?その格好だと」
「一回見たら忘れられないけれど」
「妖怪は隠れようと思えば幾らでも隠れられるんだよ」
 妖怪の特技の一つである。
「だからね」
「ああ、そういえばあんた達って隠れるのが生きがいの一つだったわね」
「そうだったわね」
「そういうことだよ。普通に学園の校門から出てね」
 そしてだというのだ。
「皆で楽しく遊んでるよ」
「お店にも入って楽しんでるよ」
「飲んだり買ったりしてね」
「買い物はわし等がしておるのじゃよ」 
 人間に近い姿と言える子泣き爺がそうだと言って出て来た。
「流石に輪入道さん達では買えぬからのう」
「というかお店に入られること自体が驚きだけれど」
 愛実はこのことを言う。
「誰も何も言わないのね」
「だから。気配を消せるからだよ」
 輪入道自身が再び言う。
「道の石は見えていても誰も気にしないよね」
「何処かのネココ型ロボットの道具みたいね」
 愛実は妖怪の話から今も続いている名作アニメのことを思い出した。
「それよね」
「そうだよ、まさにそれだよ」 
 輪入道もそうだと答える。
「道の石になれるんだよ、僕達」
「僕なんかも
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