暁 〜小説投稿サイト〜
八条学園怪異譚
第二十五話 飛ぶ魚その七
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「だから絶対にお駄目よ」
「ううん、そういうところもしっかりしてるね」
「特に駄目なのは」
 それは何かというと。
「ゴキブリよ」
「うちもよ」
 聖花もゴキブリの名前を聞いてむっとした顔で言う。
「あれは絶滅させないとね」
「一匹見たら百匹は始末しないとね」
「一匹でもお店にいたらアウトだから」
「食中毒と同じだけ危険よ」
「殆ど地雷だな、おい」
 一本だたらは一つ目で突っ込みを入れた。下駄をはいた脚は一本だが手は二本という格好でそこにいる。
「二人共ゴキブリ嫌いなんだな」
「嫌いも嫌いも超嫌い」
「巨人の次に嫌いよ」
 二人は巨人が第一に嫌いらしい。
だがゴキブリはどうかというと。
「お店の敵だからね」
「絶対の存在を許したらいけないから」
「というかね、ゴキブリって何でこの世にいるのか」
「迷惑そのものよ」
「普通さ、ゴキブリとかより妖怪とかを嫌がらない?」
 ここで言ったのは塗り壁だった。
「君達は違うんだね」
「えっ、だって妖怪さん達とはお友達だし」
「怖くないし」
「というか親しいしね」
「そんなことないわよ」
「そう、だからね」
 二人にしては妖怪は怖くない、しかしゴキブリはだというのだ。
「一匹でもよ、出たらお店は終わりだから」
「ゴキブリはお店の天敵だから」
「この世で一番厄介じゃない」
「それで怖くないってね」
「徹底しとるのう、まことに」
 砂かけ婆はそんな二人にある意味感心していた、そしてだった。
 その二人に言ったのである。
「店の娘に相応しいわ」
「うん、是非そうなりたいって思ってるわ」
「だってお店で生きてるから」
 二人も確かな顔で砂かけ婆に答える、そこには確かな意志があった。
 その意志を見せた二人に博士はまた言った。
「それでじゃが。ゴキブリのことは置いていてな」
「はい、泉ですね」
「今度は水族館に行こうって思ってます」
 二人はすぐに博士に答える。
「それから次は植物園に行こうって思ってます」
「後も色々と」
「要するにあれじゃ。この場合の泉とはな」
 それはどうかというとだった。
「扉じゃな、出入り口じゃ」
「こちらの世界と妖怪さん達が元いた世界ですね」
「それですよね」
「世界といっても同じじゃ」
 博士は少し聞いただけでは容易にはわからない例えも出した。
「学園の中、そしてじゃ」
「外の世界ですよね」
「学園の外の」
「この学園も世界なのじゃよ」
 博士は二人に話していく。
「壁に囲まれておるからわかりやすいかのう」
「あれっ、それって何か」
 ここでふと気付いた愛実だった。それで博士に対して話した。
「中国とかヨーロッパの」
「町じゃな」
「アラビアもでしたよね」
「東南アジア
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ