第四幕その四
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公女は必死に彼女に声をかける。やがて彼女はゆっくりと目を開けてきた。
「気付かれましたか」
「はい・・・・・・」
まだ顔は白い。だがそれでもようやく我を取り戻せた。
「気を取り戻したか」
王はそれを見て呟いた。
「公爵」
王はロドリーゴに何かを言おうとした。
「はい」
彼はその場に畏まった。
「実はな」
何かを言おうとする。だがそれを急に止めた。
「いや、いい」
彼はそれを止めた。
「!?」
ロドリーゴはそれに不審なものを感じた。咄嗟に彼は今日の宮殿の来客のことを思い出した。
(そういえば・・・・・・)
あの盲目の老人のことが脳裏に浮かぶ。そして以前の王の言葉も。
(そういうことか)
彼は勘のいい男である。全てを察した。そして自らを待つ運命も。
(時が来たな)
彼は思った。
「ではわしは用があるのでな。これで失礼する。公女よ、妃を頼んだぞ」
「はい」
王はそう言うと部屋を後にした。ロドリーゴはそれを追う。あとには王妃と公女だけが残された。
「王妃様、大丈夫ですか」
「はい」
段々顔に血の気が戻ってきている。彼女は笑顔で答えた。
「公女、有り難うございます」
そして彼女は礼を言った。
「いつも助けて頂いて。何とお礼を言えばよいのか」
「いえ・・・・・・」
だが公女はそれに対して顔をそむける。
「どうしたのです?」
エリザベッタはそれを不思議に思った。
「私はお礼を申し上げているのに」
「私は・・・・・・」
彼女はそれに対し顔をそむけたままである。
「顔をこちらに向けて下さい。他人行儀する仲でもありませんし」
「王妃様・・・・・・」
「さあ、どうぞ」
彼女は顔をようやく向けてきた。
「どうしたのですか?貴女らしくもない」
王妃が普段の気の強い彼女を知っている。だから今の弱々しく何かに怯えている様子は不思議で仕方がなかったのだ。
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