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神への資格
第一章  4
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いで。
「そ、そうですか。なら良かったです―あ、まだ名前を名乗っていませんでしたね。私の名前は、シリアといいます。今日からお二人のお世話をさせて貰う事になりました。以後宜しくお願いします」
(…シリアさんね)
 シリアさんは僕を見て、何故か知らないが頬を赤らめながら、自分の名前を名乗った。そんなに自分の名前を名乗る事が、恥ずかしい事なのだろうか?さっぱり判らない。
「こちらこそ、宜しくお願いします―シリアさん」
早速覚えた名前を呼んでみた。すると、シリアさんは急に慌てだした。
「で、では、私はこれで。ほんの些細なことでも、何かありましたらお声をお掛け下さい。失礼します!」
(熱でもあるのかな?)
彼女の去り際の蒸発しそうな程、真っ赤に染まった顔を見て、僕は思う。
「まっ、いいか…僕も部屋に戻って、ゆっくり休もう」
 色んな事が起り過ぎて、自分の頭がパンクしそうだ。情報の収集を行う為にも、睡眠という物は必要不可欠だ。眠い時に何も考えられなくなってしまうのと同様に、回らなくなった頭で何を考えても、良い案は出て来ない。たまには頭を休めてやることも、必要だ。
 寝るモードに入った者というのは、全てを一旦諦めるためか、何もやる気が起きない。僕は持って来た―と言っても、本当に使う大事な物しか持って来ていないが、背に背負っていたリュックを部屋のその辺に投げ捨て、思いっきりベットに倒れこむ。
そのまま…寝よう、という処に邪魔が入るのは定番中の定番で、まさしく僕もそのルールから外れることは絶対に無いのだと思い知らされる。まあつまりは、人が居たという事。彼を『人』と捉えてはいけないが、僕ら『人間ならざる者』には、例える存在が必要だ。だからこの場においても、『人』と言う以外に、他に言葉が無い。
「……何なんですか、ローズさん」
 朦朧とした意識の中、僕は寝ずになんとか話し掛ける事に成功した。本当は彼の事なんか放っておいて、寝てしまっても構わないのだが、やっぱり目上の人は立てておいた方が良いので、頑張った。
「いやぁ、久し振りだね!優等生君!」
(だから、用事は何だって聞いてるのに…)
 ローズさん―僕達の直属にあたる上司の彼は、僕がした質問には答えずに、愉快に挨拶をしてきた。これはこれでいつものことなので、特に気にならないと言うか―もう呆れることしかできない。自分の先輩として当たってしまった不運を自ら、励ましていないとやっていけない。
「こんばんは…お久しぶりです…」
ここはグッと我慢して、穏やかに挨拶を返す。ローズさんの面倒くさい所は、僕の問いにちゃんとした答えを返してくれないこと―例えば、さっきの時もそうだった。後は、まるでこっちが何を聞こうとしているか気づいていて、その質問に答えたくないのか、話を逸らしてくる所。
(でも、これに対して
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