第六話 Daily Living
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からシンジ君は私の家に居候」
「そうですか…そう言えばミサトさん」
「ん?」
ミサトは片手でハンドルをさばきながら訊き返す。シンジは躊躇しながら言った。
「父さんの家って…何処にあるんですかね…?」
「碇司令の自宅? それはね、NERVの最高機密になってるの。私も知らないわ…」
「そうですか…」
車内に沈黙が流れる。それを破ったのは、五分後のミサトの発言だった。
「シンジ君、本部付きのもう一人のパイロットって知ってる?」
「もう一人? いえ、知りません…」毎度の嘘。
「同い年の、綾波レイって娘《こ》なんだけど。ほら、クラスにいたでしょ」
「…はい。今日は確か、欠席してたような」
「そう。今彼女は、起動実験の失敗の時に負った怪我で入院してるの。治ったらまた顔合わせになるから、その時はよろしく」
彼女がそう言い終わった時、ちょうど車はマンションについた。駐車場に一発で車を止めたミサトと共に、シンジはエレベータで上に上がり、あの部屋のドアの前までやって来た。
ミサトが鍵を開け、一足先に入る。シンジは遅れて足を踏み入れる。
「お邪魔…します」
ミサトがシンジに言った。
「シンジ君、今日からここがあなたの家よ。家に帰って来た時、なんて言うか知ってるでしょ」
微笑を浮かべたその表情は、母親のようだった。シンジは照れながらも、あのセリフを言った。
「ただいま…」
「おかえりなさい、シンジ君」
家族ごっこの始まりか…。シンジは未来を考えてそう落胆した。しかし今この時間《とき》が嬉しかった。
「どうぞ上がって〜。緊張しなくてもいいわよ〜」
ミサトはそう言ってシンジをリビングまで案内した後、自分の部屋に着替えに行った。シンジはリビングの惨状に自分の目を疑った。
散らかるコンビニ弁当のごみ。書類。筆記用具。ポテトチップスの袋(空)。などなど。ニアサードの後の大地の様に、リビングの床は荒れに荒れていた。
「…酷過ぎる…」
「ん? 何が〜?」
部屋着に着替えたミサトが呑気な声を出す。シンジはさながら第十の使徒戦の様に叫んだ。
「掃除します!!!!」
その怒鳴り声に、キッチンの片隅でイワシを取ろうとしていたペンペンも飛び上がった。
結果、彼の歓迎パーティーは日付が変わった後、質素に行われたという…。
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