第3話 ある一人の女性の物語
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る事の無い『恋』かもしれない。
そんな現実逃避にも似た考えを頭の中で何回もしていると、自分の目の前、さっきまでは数メートルの距離があったとゆうのに気付くとほんの三十センチとゆう至近距離になっていた。それも真っ正面で顔を見られている。
「ふぇっ!?」
口からそんな情け無い声が漏れるのと体が後ろに倒れる感覚に気付いたのは同時だった。
体が後ろに倒れている時の時間はスローであり、自分だけ時間に取り残されたかのような錯覚さへ覚える。
…服をクリーニングに出さなきゃ。
後ろに倒れば服の結末は泥まみれ。
嫌だなぁ泥まみれ。
そんな事さへ考えられる程に時間が遅い。だが次の瞬間。吉良が背中を手で抑える事によって未来が泥まみれになる事は回避された。その代わりに未来を落とさぬように固定するために片方の膝が泥で汚くなったが。
それに気付いた未来は慌てて立ち上がろうとするが立ち上がれない、いや立ち上がろうとする力を更に強い力が抑えているのである。
「あ、あのすいません。立ち上がりたいのですが…」
そう言うと体が浮く。
「えっ? ふぇぇ!!」
吉良は未来の言葉を聞くと、未来が倒れないように支えていた体勢からその立ち上がったのである。立ち上がった体勢を一般的に言うならお姫様抱っこと言う。
「ちょ、は、恥ずかしいです//」
顔から炎が出ない方がおかしい程顔が熱い。真っ赤な顔を見られたくないため手で顔を覆う。死ぬ程恥ずかしいが同時に少しながら幸せだったのは秘密である。
―――――
その後ベンチに降ろされ少し喋っていると、お昼タイム終了まで残り僅かになり、吉良は先に帰ると言い会社に先に行った後である。
未来はベンチで何もする事無く座っていた。
吉良はカメチェーン店の入口近くで立ち止まりブツブツと1人で呟いている。
「あの女はどうやら『スタンド使い』になる才能があるらしいな、『もしも』のためにアプローチを取っておこう。ある程度しておけば、あっちが勝手に思うだろうしな」
そう呟くとカメチェーン店の中に入る。その時の吉良の顔は何の感情も感じさせないまるで氷のように冷たい表情だった。
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