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その答えを探すため(リリなの×デビサバ2)
発作的ショートストーリー デビ☆サバ外伝
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ても、ほっそい割に鍛えとるなぁ。服の上からやったら分からんかったわ」

 困惑する純吾に、さらに体を押しつける緋那子。その上さらに、純吾の体を確かめる様に手に取った腕をさすってもいる。

 もう我慢の限界だ。頭が働かないなんて知ったことではない。亜衣梨は灼熱する感情に身を任せ、目の前の二人に向かってそれを放とうとすると

「ダメ」

 そう純吾が言い、緋那子を体から引き離したのを見て急に思いとどまった。緋那子の方も突然のことに、さっきまで余裕の表情を崩してびっくりした面持ちだ。

「ヒナコ、やっぱりその恰好じゃ風邪ひく。……これ着て」

 そう言うと純吾は上着を脱いで緋那子の肩にかける。主導権を握られっぱなしの緋那子は「ぉ、おおきに」と間の抜けた返事を返す。

「それと、これ、茶碗蒸し。ジュンゴが作ったから、食べて」

 さらにずいっと、どこからともなく取り出した茶碗蒸しを緋那子に押し付ける純吾。それから亜衣梨の方を向く。散々話に入れなかったのに、突然こちらに視線を向けられ、亜衣梨はぱくぱくと何も言う事ができない。

「ジュンゴ、みんなに茶碗蒸し渡し忘れた。だから、行ってくるね」

 亜衣梨にも、そう言って茶碗蒸しを渡すと純吾はさっさと壁際から離れて行った。
 後に残っているのは、呆然と茶碗蒸しを握りしめる二人の女性。

「…なぁ、あんた」

「…あんたじゃないわ。伴亜衣梨っていう名前があるわよ」

「そう。なら、バンちゃん」

 そう言うと、緋那子は急に亜衣梨に向けて頭を下げた。いきなりそんな事されるとは思ってなかったので、亜衣梨はわたわたと茶碗蒸しを握りしめる。

「えろうすんませんでした。バンちゃん、ジュンゴちゃんを妙に気にしとったから、ついからかい過ぎてもうて」

「な、なななな何よ気にするって! ジュンゴの事なんて、全然気にしてないわよっ」

 いやその反応がなぁ、と顔を上げた緋那子は呆れ顔をする。それから視線をサマナー達の間を行き来している純吾の方へ向ける。

「あんた、ええ人と出会えたなぁ。あれ、バンちゃんに気ぃ使ってああしてくれたんやで。それにうちにも、ちょっとイタズラの加減間違えてもうたのに怒りもせんし。それどころかこうやってうちのこと心配してくれたしなぁ」

 そう言って、緋那子は肩に掛けられた上着に顔をうずめる。また少し、亜衣梨の頭にいらっとくる。

「ふふっ。お日さんに、猫に、色々な料理のえぇ匂いがする。それに…」

 顔を上着から離して、亜衣梨の方へ近づける緋那子。すんすんと鼻を鳴らした後、にっこりと笑う。

「それに、バンちゃんの匂いもする。バンちゃん、随分ジュンゴちゃんに甘えとったんやなぁ」

「なっ! 私がそんな事する訳ないでしょ! 
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