発作的ショートストーリー デビ☆サバ外伝
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ない感謝の気持ちをこめて、純吾を見上げて思いっきり「あっそ!」と言うのであった。
「あーら、なんやえらい甘ったる〜いええ雰囲気やない」
「うわっひゃあ!」
しかし突然横から聞こえてきた声。純吾との会話に没頭していた亜衣梨は素っとん狂な声を上げた。
「ぷっ…あっはっは! なんやうわっひゃあて、あー苦し。ぷふっ、ふふふっ」
自分でも恥ずかしいと思っているのに、さらに追い打ちをかけるその声。怒り心頭の亜衣梨は、思いっきり声の主を睨みつけた。
亜衣梨より高い身長に豊満な体つきの女性は唯一、遠目で見ただけで交流会中、絶対に純吾には近づけさせまいと決心した存在……
「何笑ってるのよ! えっと……」
「ヒナコ、九条緋那子や。よろしゅうな、名古屋のお二人さん」
目の前にいる露出の激しい女性――緋那子は、亜衣梨に視線を合わせる様に…その豊かな胸を強調するかのように背を曲げて挨拶をした。何気ないその動作に亜衣梨はせっかく治まったボルテージが上がっていくのを感じた。
ちなみに純吾は何の感慨もないのか、片手をあげて「やっ」と軽い挨拶を交わす。
「で!? 何の用? こっちはあんたに何の用事もないんだけど」
「いや、用ゆうたらこの交流会の目的を果たすために挨拶に来ただけよ。うち、あんたらとだけは話してへんかったしなぁ」
ぽりぽりと頭をかいてそう言う緋那子に、亜衣梨はぐうの音もでない。どう考えても、彼女の言い分の方が正しいからだ。
それでも何か言い返してやろうと自分の世界に入り込み、頭をひねる亜衣梨。
「しっかし、初対面やってのにえらい剣幕やなぁ。なんでそんなに……ははぁん」
その声を聞いた途端、はっと亜衣梨は現実に戻った。そして何故か、まずいとも思う。そんな自分でもよく分からない焦りを抱えて声の方を向くと、更にその焦りは加速する事となった。
「な〜ぁ、あんたの名前教えてもらえんやろうか」
「ジュンゴの? …ジュンゴは、鳥居純吾。よろしくね、ヒナコ」
「へ〜ぇ、そっか。うん、よろしゅうな、ジュンゴちゃん」
亜衣梨の目の前で、純吾と緋那子が親しげに言葉を交わし、握手をしている。たったそれだけのことなのに、亜衣梨の頭は訳の分からない感情で真っ白になる。2人を離そうと思っても、動く事ができない。
「ジュンゴちゃん随分ほっそいけど、よぅ今まで生き残れたな」
「ん…。ネコショウグン、頑張ってくれた」
「ジュンゴちゃんの悪魔やな。あっ、うちのはリリムっていうんよ。うちに似て、めっちゃ美人で強い悪魔なんやで」
亜衣梨に見せつける様に、緋那子は純吾の腕をとり体を押しつけた。
混乱が更に、加速していく…
「ヒナコ」
「ええやん別に。それにし
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