第23話
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えてくる
「リーズー?居るかぁ?」
と、奥から声だけ聞こえてきた
「レイ?ちょーっと待ってて」
言われた通りカウンターで待つことにした
待っていた時間は本当にちょっとで20秒ほどで出てきた
「今日も繁盛してんな」
「ほんとよ、誰かさんのお陰でね!」
誰かさんとはもちろん俺のことだ。大分前、リズから「もっと店の宣伝したいなぁ」と言われた(正確には呟いた)ので攻略組、及び一部のプレイヤーに店の宣伝をしたけっか、日に日に客が増え、今ではろくに休みも無いという
「まぁ、良い事じゃねぇか。で、俺のコイツなんだが」
腰に帯刀している黒印を小突く
「はいはい、研げばいいんでしょ」
「よくわかってらっしゃいますね。もちろん、格安ね」
「ぐぬぬぬ、仕方ないわね…」
この間頼まれたお使いの報酬として格安に研いでもらえる事になっていたのは非常に助かる
「…この刀、結構時間かかるから…」
「分かってるって、しばらくうろうろしてりゃ良いんだろ」
「そゆこと。じゃ、出来たらメールするね」
リズに黒印を託し、研ぎ終わるまでの時間を潰すために再び商店街に向かった
小腹もすいたことだし、何か食べようかとさまよっていると、家と家の僅かな隙間に灰色のフード風のように走っていた
「あいつか…ここで見つけられたのもなんかの運だろうな」
俺は今のフードに≪追跡≫を発動させ小走りに追いかけた
しばらくするとマーカーが止まった。俺は速度をあげて、何とかマーカーが動き出す前に追いついた
フードが居たのはレトロなバーだった
「いらっっしゃい!何にしますか?」
気前のいいNPCが注文を聞いてくるが今お酒を飲んでいる訳にもいかない
ちなみにこの世界にもお酒は存在するが、どれだけ飲んでも酔うことは無い
「いえ、人を探しに来ただけですから結構です」
店員に丁重に断るとNPCは少し残念そうな顔をしてカウンターの整理に戻った
俺はあたりを見回し、灰色フードを探した。すぐに見つけて声をかけた
「久しぶりだな、アルゴ」
「ン?おぉ、久しぶりだナ!」
灰色のフードの正体はアインクラッド一の情報屋、「鼠のアルゴ」だ。アルゴは実に鼠らしく、見つけようと思うと中々見つからず、運が良ければ会える。そんなレベルの情報屋だ。もちろんその分持っている情報も貴重で、下手をすると「リアル」の情報まで調べられる程の実力を持っている
「珍しいナ、こんなバーに顔を出すなんテ。奥さんはどーしタ?」
「バーじゃなくてお前を見つけて追っかけてきたんだ。それにサチは今頃お買いものさ」
アルゴの正面に座り会話を再開する
「おッ!おねーさんを見つけるとは、中々運がいいナ」
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