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魔法少女リリカルなのはA's The Awakening
第三話
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所へと向かっている。これはこっちに来て三日後に彼の義理の親から宅配で送られてきたもので、もともと彼の乗っていたものである。

「さて、今日は3万くらい勝たせてもらったから、あいつらに土産でも買ってってやるか」

 今日の彼は表が赤く、裏地がヒョウ柄のノースリーブジレに半袖の白い文字プリントTシャツ、黒のタイトなカーゴパンツに茶色のブーツ。Tシャツの胸元にはシルバーネックレス、腹のあたりにはジレに埋められたシルバーリング同士をつなぐかのように、シルバーチェーンがある程度たるみをもってつながれている。
 バイクを降りてメットをとり、シートの下にしまっていたレザーのショルダーバッグを取り出してメットをしまい鍵をかけ、扉を開けて中へと入る。ドアに付けられた来客を告げるベルが店内に心地よく、かつ大きく鳴り響き、若い女性店員がすぐに反応する。

「いらっしゃいませ〜、お一人様でしょうか?」
「はい」
「カウンターならすぐにご案内できますけど……」
「構いませんよ」
「かしこまりました。こちらにどうぞ〜」

 その店の名は、喫茶「翠屋」。彼が一人で海鳴市内をバイクで巡っている間に、空腹を満たすために入った店の一つで、値段と味が「いい意味」で釣り合っていないという噂の店でもある。今や彼のお気に入りの店の一つといえよう。よく一人で来ているとか。
 主婦が談笑し、老人たちが憩いの時を過ごしている。若い男が一人で訪れるには、あまりにも場違いに思える。しかし、竜二はそんなことなど気にしていない。

「ご注文はお決まりでしょうか?」
「ホットケーキでセットを。アイスレモンティーで」
「かしこまりました。少々お待ち下さい」

 注文を取り、奥へと引っ込んでいく。竜二はグラスに出されたお冷を口に運んでふと呟いた。

「平和やなぁ……しかしまぁ、ガキの頃はこんなことになるとか思いもよらんかったよなぁ」

 そして彼は、注文の品が届くまでの間に昔のことを思い浮かべていた。



 彼が大阪に居た頃は、少々はぐれものだったらしい。小学校の内はよそ者ということで学校では馴染めず、中学に上がってからは寂しさから繁華街に繰り出せば絡まれる日々。そんな日々の中で育まれた格闘技術は、荒削りながらも実戦慣れしたものへと研ぎ澄まされていった。
 高校に上がって音楽と出会い、仲間と出会ったため生活は変わり、大人しくなってはいったが、彼はそれ故か、平和で穏やかな日々というものに憧れを持っているフシがある。
 自宅は親と彼と、はやてとは別の妹の四人暮らしで、何の目的もなくただフラフラするだけの日々。家庭内でもよそよそしさが取れない中、彼の救いとなったのは、当時はまだまだ発達段階だったインターネットやテレビゲームなどであった。
 そんな中、竜二の15歳の
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