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Dies irae~Apocalypsis serpens~(旧:影は黄金の腹心で水銀の親友)
第三十八話 思想と目的
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めているんだ。こんな戦い楽しくなんてあるものか!

「ならば―――」

ああ、だったら―――

「「これで終わらせる(としよう)」」

お互いに向かい合い、動きを止める。一瞬にも永遠にも感じられる完全なる停止。生き物は愚か、何もないこの地獄で俺たちは最後の一撃を放つために動きを止めた。誰がこの戦いに勝ち残るべきか。俺の中でその答えはもう出ている。
まず、ラインハルト。奴に世界を握られるわけにはいかない。まずそれは確定だ。
次に、メルクリウス。奴はマリィが勝ち残りさえすればどうなろうと構わないと思っている。さっきの一時だけでもそう確信できた。
そして、アグレド。あれの目は本気で誰が勝とうとも気にしないと語っていた。たとえ俺達が勝とうとも負けようとも変わらない。
最後に、この俺自身。ああ、理解している。俺もまた残ってはいけない人間だ。役者としても不足している。何せ俺のルールは傍迷惑極まりないものだ。今だけが永遠に続けばいい。
もしあのまま戦って、俺がラインハルトを斃せていたら、流れ出していたのはそんな法則。だから、

「ここで俺は死んでもお前を斃す」

俺には総てを受け入れることなんて出来ない。だから総てを受け入れることが出来るマリィこそがこの世界に相応しい。俺がここで討たれても、マリィは死なない。何故かはわからないが、少なくともこの世界はどんな人間だろうとも一人でしか、個人でしかいられないのだ。
つまり、今でこそ俺とマリィは一緒にいるがそれは本来認められないこと。ラインハルトを斃せばマリィはここに現れる。俺が斃れても、マリィには一切傷がつかないまま、また同様にここに現れるだけ。それまでにラインハルトを斃せば必然的に俺の勝ちだ。

「俺は器じゃないんだよ。お前と一緒でな」

神様なんかにはなれない。そして、それを聞きラインハルトは、

「相分かった。文字通り、刺し違える覚悟だと。いいだろう。ならば総てを燃やし、真実の乾坤一擲を放つがいい。強さには二種ある。他者のためのもの、己のためのもの……そこに優劣はなく、差があるとすれば信仰だ。己こそが絶対と自負するか―――」

こいつのように、我こそ全なりと揺るがない在り方か。

「他者こそが絶対と祈るか」

俺みたいに、マリィこそが全の器だと信じるか。

「女神の騎士を気取るなら、その覚悟を貫くがいい。蔑みはせぬし、敬意も払おう。ただし、失望だけはさせるなよ」

俺の内にいるマリィは今だけは声を上げない。いや、本当のところは喚いているのかもしれない。泣いているのかもしれない。だがこの世界ではそれを聞き取ることはできない。けど、ごめんな。もし声が聞こえていたとしても今だけはそれを聞いてやれない。

「信じろッ…」

俺は絶対勝って見せる。だから勝手
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