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Dies irae~Apocalypsis serpens~(旧:影は黄金の腹心で水銀の親友)
第三十七話 悪魔の正体
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うことに他ならない。ラインハルトの最大の願いとは、つまりそれであり、灯台下暗しであったことを悔やんでいる。

「そこはお許しを。私は友人と争うことなどしたくない。あなたは最高でしたよ。ハイドリヒ卿」

「私もだ、カール。そしてアグレドといったか―――」

「何か?」

意外だったのは続くその言葉。俺に対して彼が尋ねることなどありもしないだろうに、と思っていただけにそれに多少の疑念をもつ。

「卿もまた、大儀であったぞ。卿の寄越した臣は中々に素晴らしいものだった。故に、卿もまた私の愛に抱かれるがいい」

「――――――」

らしいと言えば、あまりにもらしいその言葉。ハイドリヒにとって(アルフレート)であろうとも愛すべき一人だったというわけだ。だからこそ俺はある意味、俺としての意志を介在して答える。

「誉れ高きことだ。故に、その言葉は俺ではなく、あなたの内にいる僕へと伝えるようにしてくださることを望みます」

「フム、そうか」

ただそれだけ言って彼は再び歩みを進める。俺とアルフレートは元は同じ存在であろうとも今や別の存在だ。彼は人であり、俺は人ならざる悪魔。それだけでも彼と俺は違いすぎる。故に、アルフレートはそれを無意識に自覚した時から水銀をメルクリウスとラインハルトをライニと呼んでいたのだから。

「では、さらばだ友よ」

「ええ、さらば私の二人目」

水銀とラインハルトは別れを告げる。

「では、始めるとしよう。決着の方法は簡単だ。最後まで己の覇道を貫き通したもの、それこそがこの世界の勝者となる。互いに己の総てを懸け世界を己の者とするがいい」

では、その開戦は俺が告げるとしよう。そして、腕を振り下ろし、全員がその戦いに身を委ねた。



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