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Dies irae~Apocalypsis serpens~(旧:影は黄金の腹心で水銀の親友)
第三十七話 悪魔の正体
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瞬かせ、微笑した。

「ああ、その通りだ。ここでは誰も例外などない」

「無論、いつもそうしていた(・・・・・・・・・)。私は何もしない」

悪戯を見咎められた子供のように笑う。ここで、流出の主を決めるのだ。俺という全くのイレギュラーすら含めた四人で。勝ったものがここから出られる権利を有する。尤もそれに関して俺は除外されているが。

「結局、お前は何なんだ―――」

蓮も戦い自体には納得を見せるが俺という存在が何なのかを尋ねる。彼とて薄々気がついてはいるのだろう。俺という存在が流出位階を持つものであると。だが、確信を持てない。故に声を掛けるのだ。

「勘付いてはいるんだろう―――だがまあ、尋ねられたのならば答えないわけにはいかないだろうね。俺は糸を引くものだ。同時に俺の正体に意味はない。俺という存在はこの世界で閉じ込められた愚鈍な悪魔に過ぎない。そして機会が巡りくるように配役を用意しただけのことだ。中々の余興には浸れたと思うがどうだ?」

俺はここから出られない。閉じ込められた醜い悪魔。それだけの存在のはずだった。だが、何の因果か俺という存在は身の半分より(アルフレート)という存在を生み出し、またその(アルフレート)(七皇帝の分体)を生み出した。俺は糸を引いてそれらの人形を少しだけ自分の都合のいい方に動かしただけ。結果、鍵を得た俺はここに立つことを許される。

「俺は結局のところ、神の僕であり、敵対者であり、悪魔であり、悪神だ。君の望む悪意ある答えを当て嵌めておいたらいい。俺はそんな存在だ」

故に憎みあうなら相争え。俺は俺のやり方で他者の望みを叶えよう。誰もが望まぬ形で夢を現実としてやろう。

「では、各々それでよいかね?」

水銀が最後の確認を取る。ああ、無論俺はそれで構わない。

「いいだろう」

そして同様にその問いにラインハルトは頷き、

「ああ、文句はない」

藤井蓮もまた肯定する。
誰もが相手を斃すという前提が変わるわけではない。配役が増え、勝敗のつけ方が単純化しただけ。

「では行こうか」

一歩踏み入れ、無の地を最後の決着に相応しい決闘場(コロッセオ)へと造り変える。それは俺にのみ与えられた権限。このごく限られた世界は俺の敷地。故にこの程度ならば造作もなく出来ることだ。

「カール」

先頭を歩く、ラインハルトは振り返ることなく、友へと声を掛ける。

「大儀だ。卿の友情、嬉しく思う。私は総ての望みを叶えられた。未知も、全力も、そして神殺しも。ただ、私がもっと早くに気付いていたら、卿と直接矛を交えていただろう。その機を逸したのが、残念と言えば残念だ」

怒りの日(ディエス・イレ)とはすなわち最終審判の日。それは天上の神すらも消し飛ばすとい
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