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Dies irae~Apocalypsis serpens~(旧:影は黄金の腹心で水銀の親友)
第三十七話 悪魔の正体
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の総軍の尖兵となった相手とあまりにも似通った気配を出される相手であるがゆえに。尋ねずにはいられない。
「そうだね、彼が来るのを待つまで質問ぐらいには答えよう。初めまして、私は君らの言うところの悪魔だ。以後、と言ってもあるかは分からないがよろしく」
平然と、そう言ってのけた。
******
二人の戦いの邪魔をするのは無粋であるとわかっていたし、後ろから刺すほど程俺は外道ではない。ではなぜ、このタイミングで現れたか。それは簡単だ。俺が介入出来る機会はこのタイミングしか存在せず、また、こうしなければ世界が一色に収まらないと判断したが故にだ。
「悪魔というのが言い難いのならアグレドと言ってもらっても構わないよ。略称でいうならこれもまた正しい名前と言えるだろうから」
穴が開いた先は特異点となる。そこに至れば結局は彼らの戦いを一度止めねばならなかったであろうし、また、彼もそれを良しとせず止めたことだろう。故に。穴を空けないように形を変え、導いた。俺という存在がいるこの
牢獄
(
ゲットー
)
へと。
無論、これは彼への謀反でも、叛旗でもない。何故なら彼はこの程度のことで狼狽えなどしないだろう。
「ここは……どこだ?何のためにこんなことをした?」
藤井蓮が尤もな疑問を口にする。確かに彼らにとっては互いの決闘に水を差された気持ちなのだろう。だが、案ずるな。むしろ喜べ。俺は君らに選択肢を与えよう。
「牢獄、地獄、失楽園、獄界、無色界、奈落、煉獄……多くの人間がそう呼び、蔑み来ることすら拒む世界だ。そうは見えないか?」
自らの目の前には己の穢れた欲を満たすためだけの物が現れ、それ以外には何もない。望む物を総て与えられる代わりに、それ以外は何もない。
ある者ならここを極楽と言えるかもしれない。だがそんなものはここにはない。この世界はどこまでも孤独であり、得られるものはあくまで物でしかないのだ。故に、ここを極楽と言えるのは孤独を愛する者のみだ。
「何のために、という質問に対してはこうすることを俺が望んだからだ。君らはあの瞬間、既知という絵画を壊し、新たな絵画を彩ろうとした。だが、一つの絵に画家は二人も求めはしない。故に穴の開いたその先で相争う事となれば、それは最早流出ではなく墜落だ。たとえどちらが勝ってもそれでは得るものなどない。不本意だろうそれは」
そう、だからこそ、
「決着をつけたいというのならここで行ってもらう。何、ここならばいくら汚されようとも壊されようとも気にはしない。何せここの住人は俺ただ一人。その俺が認めているのだ」
「なるほど、卿も、またカールそうすると?」
そう言って俺ともう一人の人物に目を向ける。俺はその聡さに笑みを殺し、突如現れた水銀もまた一瞬だけ目を
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