第一部
第二章 〜幽州戦記〜
二十二 〜語らい〜
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が集まったのかしら? 私も、人材を求める事には熱心な方だと思うけど、根無し草でしかない貴方が、何故?」
「天の定めるところ、そうとしか言えぬさ」
「天運、ねぇ」
華琳は、私の顔を覗き込む。
「何か?」
「……貴方、異国の出よね?」
「そうだが?」
「その異国で、何があったのかしら? 勿論、私よりも年上みたいだし、いろいろな事を経験しているのでしょうけど。それにしても、貴方には何か、凄みを感じるの」
「凄み、か」
「ええ。それに、軍議を見ていて気になったのが、全く口を挟まなかった事。意図的に、配下に意見を戦わせている、そんな印象を受けたわ。郭嘉も言っていた通り、貴方自身が皆を引っ張っていく力は、十分にあると思うのだけど?」
流石、と言うべきか。
見ているところはしっかりと見ているあたり、歴史に名を残した英傑だけの事はあるな。
たったこれだけの期間で、私という人物をある程度、推し量るだけでも驚異に値する。
「多くを語る気もないが。私は、己の力で道を切り開かねばならぬ生き方をし過ぎていた」
「…………」
「それに、自らの大義のためとは言え、数多くの同胞をこの手にかけてしまった」
「……それを、悔いているとでも?」
「いや、悔いはない。それは、奪った命を蔑ろにする行為、そのような真似は出来ぬ」
「そうね。戦って後悔するぐらいなら、最初から戦わない方がいい。もし、貴方がそんな事を言ったら、即座に張り倒していたわ」
「ああ。この時代に生きる以上、そしてこの生き方を選んだ以上、戦いは避けられぬからな。だが、共に歩む仲間は、全力で守るべき者、私はそう思っている」
「でも、戦う以上は犠牲はつきもの。……私だって、春蘭や秋蘭がいつ、敵の矢に倒れるとも限らないけど。でも、それを恐れていては、覇道は歩めない」
ふと、遠くを見るような眼をする華琳。
「民を守り、慈しんで。その見返りに、税を貰って。……その為には、戦いは不可避、そして力には力で対抗するしかないわ」
「……確かにな」
「ふふ、話が合うのね、本当に。……歳三、ますます貴方に興味が湧いたわ」
「そうか」
「ええ。最初は、有能な配下をたくさん抱えている、でも出自が定かでないのに、義勇軍として目を見張る戦果を上げている……そんな人物に興味があったわ」
「…………」
「それに、貴方の配下。……何故か、私との縁を感じたのよ。郭嘉も、程立も、徐晃も。いえ、張遼や陳宮、関羽もね」
「ほう」
やはり、因縁という奴はあるのだな。
「もし、貴方が取るに足らない人物なら、あの子達が仕えているのは不幸、いいえ、天下の損失だったわ。でも、貴方を知って、その認識は消し飛んだ」
「ならば、私がくだらぬ輩であれば、引き抜くつもりであった、と?」
「そうよ。私ならば、有能な将を存
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