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至誠一貫
第一部
第二章 〜幽州戦記〜
二十二 〜語らい〜
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「恋殿。此方へ来て下され」
「……ん。わかった、ちんきゅー」
「うう、ねねとお呼び下さいと言っているではないですか……」
 華琳、少し呆れたような顔をしているな。
 自由闊達さが我が軍の特色だが、やはり端から見れば異質なのだろう。
「歳三様。議論は尽くせたかと思います。ご裁可をいただけますか?」
 軍議の内容を書き留めた竹簡を、今一度改めた。
 ……概ね、問題ないようだな。
 細部は、後で詰めれば良いだろう。
「良かろう。この線で進めるが良い」
「御意!」


 軍議が終わり、皆が席を立つ。
「歳三。ちょっと、良いかしら?」
 華琳の声に、皆が視線を向けた。
「何だ?」
「この後、時間を貰えるかしら? 少し、貴方と話がしたくて」
「軍議の内容ならば、先も言った通りだが?」
「決まった事に口を挟む気はないわ。それに、多少気になるところはあったけど、手直しが必要とも思えない内容だったしね」
「では、どういう事かな?」
「軍議を見せて貰ったのと同じ。純粋に、貴方という人物に興味があるのよ」
 無論、男としてでは……ないな。
 華琳の眼は、私という人物そのものに好奇を抱いているようだ。
 ……私もまた、華琳という人物を知ってみたい、そんな気もある。
「それは、余人を交えず、という事か?」
「そうよ」
「ご主人様!」
「か、華琳様!」
 愛紗と夏侯惇が、同時に叫んだ。
「愛紗。懸念する事はない」
「春蘭、貴女は先に戻っていなさい。少し、長くなると思うから」
「し、しかし。このような男と二人でなど」
「……夏侯惇。如何に曹操殿の重臣とは言え、我が主に対する言いようには気をつけろ」
「……お前、うるさい」
 疾風と恋が、夏侯惇を睨み付ける。
「ほう。私とやろう、というのか?」
 負けじと、夏侯惇も睨み返す。
「止さぬか、愛紗、疾風、恋。些細な事でいがみ合ってどうするのだ」
 静かに、だが毅然として言い放つ。
「春蘭、貴女もよ。それから、先ほどの言葉、訂正なさい。確かに、貴女に非があるわよ」
「う……。わ、わかりました……。すまん、土方」
「いや、いい。皆、ご苦労だった。早速、各々取りかかるように」
「はっ!」


 二人だけになると、この天幕でもかなりの広さを感じるな。
「いろいろと、迷惑をかけたわね。改めて、詫びておくわ」
「気にするな。夏侯惇とて、忠義一途という事はわかる」
「そうね。でも、本当に優秀な配下ばかりね。貴方の元にいるのは」
「それは、否定せぬが。私には過ぎた者達ばかりだ」
「そんな事はないと思うわ。皆、貴方を慕っているもの。ただの女誑し、という訳ではないようだし」
 酷い言われようだが……否定する事も出来ぬな。
「でも、どうやったらあれだけの人材
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