アインクラッド編
月夜の涙と誓い
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、ギルメンが抗議の声を上げ、
「こうなれば死ねばもろとも! あんたも男だらけのむさ苦しい打ち上げ連行だ!」
「無精ひげのおっさんじゃサチさんと釣り合わねえぞ!」
「モテないおっさんはこっちに来い!」
「ふざけんな! てめぇらは寂しく騒いどけ!」
と、リーダーをも道連れにしようと、圏内で得物を抜き放たない殴り合い乱闘が勃発していた。
少しだけサチの人気に引いた。
本人は苦笑い。
そして、無事(?)に打ち上げが始まったのはいいのだが、2日に及ぶボス戦で疲れがピークを越えたのか、サチとアスカの手料理が山盛り並べられて音頭を取ったすぐその後・・・・・・説明したとおりの状況だ。
少しだけアスカがあの場に放置されていることに罪悪感を覚えるが、きっと上手くやっているだろう。
なんたって、〈閃光〉殿だし。〈血盟騎士団〉副団長様だし。
「ねえ、キリト」
「なんだ?」
静寂を先に破ったのはサチだった。
「ありがとね」
「ん?」
なんの話だ、と首を捻ったキリトに向けてサチが続ける。
「昨日、片手剣貸してくれて」
「ああ・・・・そのことか」
思わず苦笑。
「そのことで感謝しないといけないのはこっちだろ?」
あの・・・・サチを庇ってボスの攻撃を受けた時、キリトは自分が死ぬことを覚悟していた。
サチを助けるためと言えば聞こえが良いが、あれは完全にリーダーの指示を無視した無茶な特攻だった。
たとえ、サチが避けきれずに一撃くらっても、全員がアスカの指示通り動けば何の問題も発生しなかっただろう。
それを救ってくれたのはアスカと〈月夜の黒猫団〉のみんなだ。
あそこでサチが〈投槍スキル〉を使い、片手剣でダメージを与えてくれなかったら、ボスを倒せていたかさえ疑わしい。
だが、サチは首を横に振った。
「ううん。私を助けるためにキリトが危ない目にあったんだから、あれくらいは当然だよ」
あれくらい。
槍に比べて間合いの狭い片手剣で特攻することが、あれくらい。
今、サチはそう言った。
その言い回しにキリトは疑問を浮かべた。
本当にそうなのだろうか、と。
サチにとって、あの攻撃はそんな軽い言葉で済ませることのできることだったのだろうか。
今まで、槍で攻撃することすら躊躇っていたというのに。
「いや、本当にみんなには感謝してるよ。みんながいなかったら今回のボス戦が無事に終わるか分からなかった」
キリトが率直な感想を言うと、サチが照れたように笑みを浮かべた。
「そんな風に言ってくれたら、嬉しいな。でも、私もボス戦に参加して良かったって思ってるよ」
「へえ」
「うん。本当に大事なことをようやく見つけられた気がしたから」
そう言って、サチは笑った。控え目
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