第三幕その五
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者は救うことは出来ても火に入れられようとしている新教の者を救うことは出来ないのだ。それがわからないのは彼が若かったからだけではない。彼は自身の家のことも忘れていたのだ。
「お願いします」
彼は父に対して言った。
「陛下、ご慈悲を賜りますよう」
フランドルの者達も彼に倣って言った。
「・・・・・・・・・」
王は暫し黙っていた。カルロはその顔をジッと見ていた。
「ならん」
王は顔も首も動かすことなく言った。
「あの者達を許すことはならん」
「何故でしょうか!?」
カルロはそれを聞き血相を変えて問うた。
「わしに対しての不忠なら許そう。あくまで問い聞かすだけだ。しかし」
王は言葉を続けた。
「神に対する不忠だけはならんのだ」
「何故ですか!」
「カルロよ」
王は自身の子の名を呼んだ。
「そなたもわしの後を次ぎこのスペインの王となるならば、そしてハプスブルグの者のあらばわかるがいい。何故神に対する不忠が決して許されぬかを」
彼はそう言うと側に控える衛兵達に顔を向けた。
「そこにいるフランドルの者達を退けるがいい。話は後で聞いてつかわす故」
「ハッ」
兵士達は頭を垂れるとフランドルの者達を取り囲んだ。
「ならんっ!」
カルロは彼等の前に立ちはだかった。
「彼等を退けることは私が許さんっ!」
「殿下、ですがこれは・・・・・・」
兵士達は何時にない彼の頑なな態度に戸惑った。だが王はそんな彼に対して言った。
「カルロよ、席に着くがいい。あまり他の者を困らせるな」
「ですが父上っ!」
だがカルロはそれを聞き入れようとはしない。あくまで抵抗し衛兵達の前に立ちはだかる。
「陛下」
そこにエリザベッタとロドリーゴが進み出た。
「太子の仰ることももっともかと。ここはお慈悲を」
「・・・・・・・・・」
彼は妃を見た。その目は何かを疑っていた。
(やはりな)
彼はカルロを見るエリザベッタの目を見て何かを悟った。
「陛下、私からもお願いです」
そこにいる貴族達のうち何人かもそれに続いた。
「そうだ、殿下や王妃様の仰る通りなんじゃないか!?」
民衆の中にもそう言いはじめる者が現われてきた。
「父上、お願いです!」
カルロは形勢が有利になったと思いさらに言った。
「フランドルの者達に、今火にかけられようとしている者達に対してお慈悲を!」
「・・・・・・・・・」
だが王はそれに対し答えようとしない。その山の様に動かない頑なな態度はまるで彼がカルロに何かを見せようとしているかのようであった。
「陛下」
そこにある者達が進み出て来た。司教を先頭にした僧侶達だ。
「それはなりません」
彼等は王に対して言った。
「あの者達は神に対して不敬を働いたのです。それは万
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