第四十一話 鍛えた結果その十一
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「見ただけだとね」
「着られない?」
「絶対無理」
苦笑いと共の言葉だった。
「あれだけはね」
「そうなんだ」
「あれ。着なくていいって言われたら誰も着ないから」
樹里は女の子の立場から言う。
「絶対にね」
「絶対になんだ」
「あれじゃあ下着姿と一緒だから」
樹里もこう言うのだった。女の子もだ。
「半ズボンかスパッツなら別だけれど」
「あれはどうしてもなんだ」
「ええ、無理ね」
樹里はまた言った。
「誰もそうだと思うわ」
「だよね。やっぱり」
「何であんなのがあったのかしら」
かえってだ。首を捻る樹里だった。
「見ている方が恥ずかしくなるけれど」
「あんまりにも恥ずかしいデザインだから消えたのかな」
「消えてよかったわ。学習院でも今は半ズボンよ」
「あっ、愛子様そうだったよね」
「そうでしょ?愛子様だって半ズボンじゃない」
皇室の方の話にもなる。
「だからってことじゃないけれど」
「ブルマは女の子にしてみたら」
「絶対駄目。はけないわ」
即座に出された全否定だった。
「私も他の娘もね」
「成程ね。じゃあ」
「プールでも競泳水着だから」
「おじさん何も言わない?男の子と一緒にプール行っても」
「実は昨日お父さんに話したけれど」
「もうなんだ」
「事前にね。けれどいいって言ってくれたわ」
樹里は笑顔で父に許してもらった経緯も話した。
「普通の子ならともかくね」
「僕なら?」
「上城君なら何もしないからってね」
「何もしないって」
「おかしなことしない子だからって」
「それって信頼されてるってこと?」
「そう思うわ。けれどね」
くすりと笑いながらだ。樹里は上城にこんなことも言った。
「むしろね」
「むしろ?今度は」
「もっと積極的でもいいって言ってた位よ」
「おじさんそんなこと言ってたんだ」
「そうよ。だってお父さん上城君が将来のお婿さんでいいって言う位だし」
「そこまで言ってるんだ」
「そう。だからね」
水着、一緒にプールに行く位はだというのだ。
「いいんだって。ただね」
「ただ?」
「結婚するまで。最後まではいくなって」
「いや、そういうのは」
「嫌とか?」
「あの、僕そういうことしないから」
上城はその顔を真っ赤にさせていた。酒は入っていないがそれでもだった。彼は自分の顔をそうさせたのだ。
それでだ。こう言うのだった。
「そんなことしないから」
「今は?」
「うん、今はね」
時間限定だがだ。こう言ったのである。
「僕達が大学に入って就職して」
「それから?」
「そう考えてるけれど」
「けれど結婚はね」
樹里は堅物とさえ言える上城の返答にこう返した。
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