第四十一話 鍛えた結果その十
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下校中に樹里にだ。彼はこう言われたのだった。
「あのね。今度ね」
「今度って?」
「泳ぎに行かない?」
樹里から誘ってきた言葉だった。
「そうしない?」
「泳ぎ?というと」
「プールに行かない?」
横にいる上城に顔を向けてだ。樹里は言った。
「そうしない?」
「プールなんだ」
「修行にはあれよね。泳ぐのもいいよね」
「ううんと。泳ぎは」
「考えてなかった?」
「剣を使う戦いだから」
それでだというのだ。
「そういうことはね」
「そうだったの」
「けれど。泳ぐのって身体全体使うよね」
「余計な力を抜いていくものでもあるわよね」
「言われてみればいいね」
上城は樹里に言われてこの結論を出した。
「それもね」
「そうよね。それじゃあね」
「それでプールなんだ」
「うん。あそこなら一年中泳げるし」
二人のいる八条町には八条プールがある。そこのプールで泳ごうというのが樹里の提案なのだ。
「いいかなって思って」
「じゃあ行こうね」
「上城君泳げるわよね」
「それなりにね」
泳げるとだ。上城はすぐに答えた。
「できるけれど」
「じゃあ問題ないわね」
「村山さんも泳げるんだ」
「実は小学校の頃スイミングスクールに通っててね」
「あっ、それじゃあ」
「水泳には自信あるから」
樹里はにこりと笑って上城に答えた。
「安心してね」
「そう。それだとね」
「それだとって?」
「あの、水泳だからね」
ここからだ。上城は戸惑い、顔をやや赤らめさせてからこう言うのだった。
「やっぱり」
「あっ、あれね」
樹里もわかった。上城が今何について考えているのか。
それでだ。微笑んでこう言ってきたのだった。
「水着ね」
「ええと。つまりは」
「いいわよ。実はね」
「実はって?」
「水着もあるから」
その話題をだ。樹里はにこりとして言うのだった。
「競泳水着だけれどね」
「学校の?」
「学校のとは別の。ほら、ビキニって恥ずかしいじゃない」
その水着についてはだ。樹里は顔を赤らめさせて言った。
「どうしてもね」
「露出が多いから」
「そうでしょ。殆ど下着じゃない」
「下着っていったら」
樹里の今の言葉からだった。上城は体育の後の着替えの時のクラスメイト達の言葉を思い出してそれでこう言った。
「ブルマみたいな?」
「今ブルマなんてないでしょ」
「うん、ないね」
彼等ではないがこう答えたのだった。
「うちの学校にもね」
「ブルマって。私ははいたことないけれど」
樹里の時代にはもう消えようとしているものだった。彼女が小学生、まだ子供だった頃には既にそうなっていたのだ。無論それは上城も同じだ。
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