第二十四話 難波その十
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「それか蓬莱の餃子やな」
「どっちもですけれど」
「わかるんですね」
「わかるで。お口の匂いでな」
振り返ってそこからの口臭でだというのだ。
「ちゃんとな。大蒜やな」
「はい、そうですけれど」
「うんうん、大阪のラーメンいうたらあそこや」
難波のあちこちにある立ち食いのそこだというのだ。
「こってりしててな。そんでやけれどな」
「ナンパお断りなんで」
「そういうことで」
「ちゃうちゃう、アンケートや」
それだとだ、軽い兄ちゃんは軽い口調で言う。
ここで何処からかペンを出してそして書くものを出して言ったのである。
「今年優勝するチーム何処や思う?プロ野球な」
「阪神ですか?」
「阪神だろ」
五人共すぐにこう答えた。
「このままいくとクライマックス行けますし」
「だったら」
「よし、十代の女の子五人が阪神」
兄ちゃんはアンケート用紙に書いた、五人の外見を見てすぐに十代と見抜いてそして言ったのである。
「これで阪神七割や」
「多いですね、阪神」
「大阪だからですね」
「巨人って言うアホは殆どおらんで」
それは何故か、大阪の道頓堀でのアンケートだからだ。
「というか俺もトラやしな」
「阪神ですよね、やっぱり」
「そこですよね」
「巨人なんか百年位最下位になっとれや」
兄ちゃんは自分の思うことも話した。
「俺のアンケートも入れてるけれどな」
「優勝阪神ですね」
「そっちに入れましたね」
「今年優勝や」
兄ちゃんはまた言った。
「絶対にな」
「そうですよね、勝てますね」
「絶対に」
こうした話をしてだった、五人は。
その法善寺横丁に入った、そうしてだった。
今度はその和風の店、夫婦善哉に入った。うどんや蕎麦の店と同じく木造で白と焦げ茶色の色彩の趣のある店だ。
その店の中に入りそしてだった。
名物である善哉を頼む、出て来たそれはというと。
「十個!?」
「一人辺り二つ!?」
「そうなの、このお店ではね」
里香がはじめて見たその残税達に目を丸くさせた四人に微笑んで話した。
「こうして出すの」
「一人前で二つ」
「それで夫婦なの」
「そう、二つだから」
まさにそれでだった。
「夫婦善哉なの」
「量多いよな」
美優は二つであることからこう言った。
「やっぱり」
「ええ、多いと思うわ」
「そうだよな」
「それでこの善哉をね」
食べるとだ、里香は美優に話した。
「そうしましょう」
「だよな。いや、何かな」
「何かって?」
「二つあるとさ」
善哉がだと。美優は里香に話す。
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