第十六話
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第十六話 ブリアードとシャム猫
一匹のシャム猫が街を歩いていた、見れば首にはちゃんと首輪がある。
シャム猫らしく街の中をふんぞり返った仕草で歩きながらそのうえで隣にいる犬に顔を向ける、その犬はというと。
やけに大きくしかも全身長い絡む毛で覆われむくむくとしている。シェパード位の大きさのライトブラウンの毛だ。
その顔も毛で覆われ目も何処にあるかわからない、その犬を見て言うのだ。
「あんたも大きいけれどね」
「それでもなのね」
「そう、あんたは気が弱いからね」
「私喧嘩好きじゃないから」
犬はこうシャム猫に言うのだった、どちらも女言葉で女の子の声である。
「だから」
「そうよね。けれどあんたブリアードよね」
「そうよ」
「ブリアードって昔は軍用犬だったんでしょ」
「牧羊犬だったのよ」
「それでそんなに気が弱いの?」
見れば街中を少しおどおどした感じで進んでいる、シャム猫が堂々としているのとは対象的にそうしているのだ。
「普通牧羊犬って狼と戦うでしょ」
「戦うってそんな」
狼と聞いて余計に怯える犬だった。
「とても」
「そう言うと思ったわ」
「わかってて言うの?」
「うん、あんたらしいからね」
「子犬の頃から喧嘩とか苦手なの」
それも大の、だという感じで言うのであr。
「人間の子供もね」
「ご主人以外の子供はよね」
「ご主人だけは大丈夫だから」
そうだというのだ。
「あの人は私にも凄く優しいから」
「素直じゃない人だけれどね」
「うん、それでも私達には凄く優しいでしょ」
「まあね。けれどあんたの気の弱さで使い魔っていうのはね」
「無理があるかしら」
「まあ気の強さが必要な時は私がいるからね」
そのシャム猫である彼女がだというのだ。
「あんたは力仕事お願いね」
「ええ」
「確かに気は弱いけれど大きいから」
優に三十キロはありそうな大型犬である。
「力もあるしね」
「力仕事なら任せて」
黒い鼻をくんくんとさせて言う。
「そういうことは出来るから」
「頭脳勝負は二匹でね」
「ええ、それはお互いに助け合ってね」
頭を使う勝負ならというのだ。
そんな話をしながら二匹は街の中を進んでいく。人間の言葉を喋るところから使い魔とわかるがその他のことはまだわからない。
第十六話 完
2013・3・3
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