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ドン=カルロ
第三幕その四
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うのだ」
 今度は僧侶達も彼等を落ち着けようと宥めだした。場は最早血への渇望に満ちていた。
 僧達を指揮する司教が広場の中央にやって来た。フランドルの指導者達がその前に連れて来られる。
「神の掟を破った異端の者達よ」
 司教は彼等に対して語りはじめた。
「今から汝等は神の裁きを受ける。そしてその罪の重さをとくと味わうがいい」
 それはこうした異端審問でいつも語られる文句であった。
「しかし断罪の後で許しがある。汝等はその時に神のご加護にすがるがいい」
 こうした文句は聞かされる側にとっては白々しいものでしかない。言う方にとっては単なるおためごかしである。そうした空虚な時間の後でフランドルの者達は火刑台の前に導かれた。
 そこで晴れやかな曲が演奏された。その火刑式を見るスペインの要人達の入場である。
 王妃をはじめとして王族や大貴族達が連なる。その中にはロドリーゴやエボリ公女もいた。
「・・・・・・・・・」
 ロドリーゴは表情にこそ出さないがその胸中は不愉快なものであった。彼にとっては自分の身体が焼かれるようなものであった。
 公女はそれを見て何か言いたげであったが言わなかった。そして皆それぞれの場所で立ち止まった。
「さあ、陛下が来られるぞ!」
 民衆はそれを見て言った。大貴族のうち一人が聖堂の扉の前にやって来た。そしてその扉の前で立ち止まった。
「さあ、聖なる扉よ、今こそ開かれよ!」
 彼はそう言うとその扉に手をかけた。
「いかめしき聖堂よ、我等の王を出し給え!」
 そして扉を開けた。その中からフェリペ二世が姿を現わした。
 正装をし頭上には王冠をいただいている。そして僧達に囲まれゆっくりと下に降りてくる。それに対して身を屈めて一礼していた。
 彼は設けられた自身の席の前に来た。そしてそこで皆に身体を向けた。
「顔を上げよ」
 皆それに従い顔を上げる。
「皆の者、わしは神よりこの国と王冠を授けられた時誓ったことがある」
 彼はゆっくりと語りはじめた。
「それはこの国に永遠の繁栄をもたらすこと、そして神の教えを守ることだ」
 そう言うと一度言葉を切った。
「今ここにいる者達はその二つを破った。それにより今から神の裁きを受ける」
 その言葉は重苦しくその場の全てを圧するものであった。
「だがこの者達にも慈悲はもたらされる。それはこの世ではないにしろ神は必ずどのような者に対しても慈悲を与えられるものなのだ」
 それはフランドルの者を見て言っているのではなかった。彼は僧侶達、とりわけ司教をチラリ、と見た。
「それは忘れてはならない。そしてわしはその神とこの国に永遠の忠誠を誓おう!」
「陛下に栄光あれ!」
 皆それを聞き口々に王を称えた。殆どの者にとってフェリペ二世は偉大な国王であったのだ。
「で
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