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ソードアート・オンライン 〜無刀の冒険者〜
ALO編
episode2 妖精たちとの空中戦
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取るぞ!」

 俺が「待ち」の構えとみた(実際は物思いにふけっているだけだ)のか、三人が一斉に空中へと飛び上がる。おや? この世界では空を飛ぶのに初心者はコントローラを用いると聞いたのだが、目の前の三人は何も使わずに飛びあがった。つまりはあれは『随意飛行』という、熟練者、一流戦士の証といわれる代物か。…ってあいつらで一流なのか?

 「っ、あいつら、この辺では敵無しのPKギルド、『空飛ぶ狩人』の連中なんだよ!? こと飛行に関しては『随意飛行』がギルド加入の最低条件、その空中戦闘の腕も相当のものだ、って! き、キミは『随意飛行』出来るの!?」
 「出来ん。『随意飛行』どころか飛んだ事ねえ」
 「えええーーーっ!!?」

 なんか言ってきたピンク女の言葉に脊椎反射で返答すると、絶叫がかえってきた。やかましい。

 確かに闘技場でデュエルでもしようもんなら、相手が飛んでいてはこちらは攻撃出来ない。投げ槍などの投擲武器はおろかまともなリーチすら無い《体術》使いの俺ならなおさらだろう。それに対して、この世界は『ソードスキル』の代わりに魔法がある世界だ、飛行する敵さん達は遠距離攻撃手段には事欠かないだろう。

 だがそんな状況で、こんなに俺が落ち着いていられるのにはそれなりに訳がある。
 ……ここは、闘技場ではない。真っ直ぐで頑丈な木々の茂った、針葉樹林の森だ。

 「……ここなら、飛ぶ必要はない。跳べば、いい」

 呟いて、全力で地面を蹴る。

 この世界でも可能なのか少々不安があったが、『軽業(アクロバット)』のスキルはこの世界においても力強く俺の体を支持してくれたようだ。跳躍した先の木を足がしっかりと踏みつけることが出来、一瞬で……しかも木に足を付けたままの状態でありながらも体勢をアシストでしっかりと立て直せる。

 膝を曲げ、再び跳躍。

 「おおおっ!!!」

 跳躍、跳躍、跳躍。
 三角跳びの要領で次々に幹を蹴って、みるみる高度を上げていく。

 羽のある世界とはいえこの移動方法は初めて見るのか、連中は俺のこの跳躍に対策を取るどころか動きを目で追うことすら出来ていない。これでホントに一流なのか? いや多分、「とりあえず随意飛行はできる」ってだけだろう。

 「なっ、ぎゃふっ!?」
 「こ、このチビ、ぐえっ!?」
 「た、助け、ひいいぃ!」

 飛行する三人の、更に上からの一撃を背中……飛行の要になるらしい……に入れて、その力のまま地面へと叩き落とす。今回は跳躍しながらの攻撃だったために満足な攻撃力は無かったようで、それぞれ一割もHPは減っていない。一応それなりの衝撃は与えたようだが落ちた連中はすぐに起き上がり、降りてくる俺を今度は必死に目で追う。

 まあ、やはりとらえ切れてはいないのだ
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