第四章 空白期編
第八十九話 『オルタ降臨。翠屋恐怖の日』
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シホちゃん、アルトリアさんはどうしたんだ? いつもと様子が違うようだが…」
「はい。なのはがアルトリアの逆鱗を触ってしまったんです」
「逆鱗…?」
「はい。くせっ毛を。あれはアルトリアの逆鱗で掴むと性格が反転して味覚まで変わってしまうんです」
「そんな事があるの? シホちゃん…」
「はい。そして味覚が反転してアルトリアは“雑”だと評価するファーストフードを主食に食べてしまうんです。
過去、私が作った料理は尽くまずいで潰されました…」
それを思い出しているのかシホの目に涙が浮かぶ。
こんな事に悔し涙を流すシホというのも珍しいが、それ以上に桃子は料理魂を燃え上がらせた。
「…シホちゃん。ようはアルトリアさんはファーストフード以外の料理をまずいで済ませちゃうのよね?」
「はい。残念ながら…」
もうシホは半場泣き出していた。
過去、アルトリアとのご飯ライフがそれによって覆されたのだからたまったものではない事態である。
「燃えてきたわ! シホちゃん、あなたの仇は私が取るわ!」
「ダメです! 桃子お母さん! 今のアルトリアは食欲の化身…太刀打ちできる相手ではありません!」
「でもファーストフードにかまけて負けを認めるなんて私のプライドが許さない! 絶対にアルトリアさんにうまいと言わせてみせるわ! パティシエールの意地にかけて!」
そうして桃子は調理を開始した。
それをシホは悲しそうに見守った。
そんなシホの肩に恭也が手を置き、
「今は母さんを信じよう。アルトリアさんもそこまで鬼じゃないさ」
「…過去、暗黒面になって高級中華料理店に行ったことがあるんです。
そこですべての料理を食べ尽くして最後に言い放った言葉は『ふっ、この程度か? まずくてならない』だったんです…。
そして店主は料理人のプライドをズタズタにされて店は数日して潰れました…。
約束の四日間のことだから良かったものの本当のことだったら恐ろしいです…」
それに士郎、恭也、美由希の顔は引き攣る。
シホはトラウマになっていて体を震わせている。
今の今までこんな弱気でネガティブなシホの姿を見たことがなかった士郎達はこれは強敵かもしれないと…戦慄した。
シホはせめてもの助けとして接客でアルトリアに料理を運ぶ役を担っていた。
「まずはこれよ。具沢山のパスタの盛り合わせ! シホちゃん、お願い!」
「わかりました!」
そしてアルトリアへと運んでいき、
「アルトリア。これを…」
「これがここの最高級か…?」
「まだよ。この先楽しんでもらうんだから」
「そうか。ならば許そう。ではいただくとしよう」
そしてアルトリアはもっきゅもっきゅと料理を豪快に平らげていく。
そしてすぐに料理はなくなり、ただ一言。
「マズ
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