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ドン=カルロ
第二幕その八
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な彼の顔を見ながら言った。
「心の方でして」
「ほう、心か」
 国王はその言葉に眉を動かした。
「それならば気晴らしに宴でも行ってはどうか。わしは宴はあまり好まんが」
「それは私もです」
「だが時には酒も必要だ。人間はパンと水のみによって生きているのではない」
「それは存じております」
「フム、そなたは堅いな。だがそれがいい」
 国王はそんなロドリーゴを見て微笑んだ。
「わしはそなたのその心持ちが好きなのだ。気位の高さもな」
「有り難うございます」
「ところで軍務を離れたのだったな」
「はい」
「それは良くないな。そなたの才はこのスペインにとって欠かせぬものなのだ」
「有り難きお言葉。私は陛下が、そしてスペインが必要とされる時に再び剣を取りましょう」
「今はその時ではないというのか」
「お言葉ながら」
「ふむ」
 国王はその様子に彼の本心を探ろうとした。
「何かあったようだな」
 そして彼の顔を見ながら言った。
「この前フランドルに行っていたが」
 それを聞いたロドリーゴの顔色が変わった。
「あれは軍務であったがな」
「はい」
「その時に何かあったのか」
「いえ・・・・・・」
 ロドリーゴは顔を俯けてそれを否定した。
「まあ良い、それは聞かないでおこう。戦場では色々とあるからな」
「有り難うございます」
 彼はこうした心遣いも出来る。血脈のみで王をしているわけではなかった。
「ですが私は今心の中にあるものを申し上げたいと思います」
「そうか」
 これは国王にとって意外であった。彼は聞かないつもりであったがその心遣いにロドリーゴの方が感じ入ってしまったのだ。
「今フランドルは血にまみれております」
「・・・・・・・・・」
 国王は沈黙した。黙して聞いていた。
「あの美しかったフランドルが今や焼け野原になり戦火に焼かれております。川は血で赤く染まり親を亡くした子供の泣き声が木霊しております」
「・・・・・・そうか」
 ロドリーゴは話を続けた。
「人骨が石の様に転がり食べるものもなく餓えた者達が死を待つばかりです。陛下、今フランドルは地獄なのです」
「それは全てあの新教徒共のせいだ」
 彼は顔を顰めて言った。
「あの者達は我がスペインに対して反旗を翻した。それは許されるものではない」
「ですが陛下」
「侯爵よ、あの者達の実態は知っているか」
「いえ」
 ロドリーゴは王の言葉の前に畏まった。
「あの者達は確かカルヴァンというフランスからスイスに移った男の教えを守っているのだな」
「はい」
「わしはあの男を知っている。極めて厳格て潔癖な男だ」
「はい」
「だがあのルターと同じ教えではないか。どうしてあのようにいがみ合うのだ?」
 実ルター派とカルヴァン派の対立は
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