第二幕その七
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高く姿勢はしかkりとしている。その風貌はカルロのそれと酷似している。服は質素であるがその威厳は周囲を圧していた。
この人物こそスペイン王フェリペ二世である。ハプスブルグ家出身でこの国のみならず中南米、そして多くの領土を支配する。欧州第一の勢力を治める者である。
カール五世の嫡子として生まれた。質実剛健で謹厳実直な人柄で知られている。父であるカール五世が庶民性を持ち民にまで深く愛されたのに対し彼は民から深く信頼されていた。
『国王は国家の第一の僕である』
彼の口癖であったが彼はその言葉通りに動いた。国政のあらゆることに耳を傾け目を向けた。贅沢を嫌いその宮殿も雄大ではあったが装飾は少なかった。
『贅沢は君主の敵である』
彼はそう考えていた。ハプスブルグ家は代々質素な生活を好んでいたが彼はそれを一際重んじた。そして宗教的な情熱も深かった。
よく彼は狂信的な旧教の支持者と言われた。だが熱心な信者であることは確かだが分別は持っていた。かって妻であったイングランドの女王メアリー一世の極端な弾圧をやり過ぎだと批判もしている。
しかし彼はハプスブルグ家の者である。やはり旧教は擁護しなければならない。彼はそのこともよくわかっていた。その為にフランドルでは血が流れていたのだ。
そしてあまりにも生真面目であった。それが彼をいささか孤独なものにしているのは否定出来なかった。彼は何よりも
規律を重んじていたのだ。
「何故一人でいるのか」
彼がまず問うたのはそれであった。
「我が宮廷においては王妃の側には常に誰かが控えていなければならないが」
「それは・・・・・・」
皆口篭もった。王妃にその場を離れるよう言われたことなど言うに言えないからである。
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